三条市・一ノ木戸商店街のみんなのまちの交流拠点「みんくる」のチャレンジショップに「ちゃんこ佐藤」として出店中の福島県南相馬市出身の元力士、佐藤聖幸さん(25)が8日昼、三条市立旭小学校児童とともに東日本大震災や原発事故の影響で三条市内に避難している人たちを元気づけようと招き、手作りの塩ちゃんこと児童のおにぎりでもてなした。
佐藤さんは東日本大震災発生で三条市体育文化センターに開設された避難所に避難して以来、三条市に生活の拠点を移し、昨年は三条市の和奈さんと結婚。30歳になる平成30年に三条市内でちゃんこの店を開業しようと修行しており、今は6月半ばから8月15日まで「みんくる」に出店している。
東日本大震災から3年がたち、三条市に避難している人たちの交流の場ができればと、佐藤さんは今回の催しを企画。自身が前向きに生き、自分の店を持つ目標を見つけ、結婚したことの報告や感謝の思いを伝えたいと考えた。
用意した塩ちゃんこは、鶏ガラスープと和風だしのブレンドをベースに、野菜などの具が数えきれないほど入る。入門した玉ノ井部屋流のウインナーや肉団子に、三条特産の車麩(くるまふ)、三条市・佐久間食品の油揚げや豆腐団子も加え、さらに新潟市のちゃんこ鍋専門店での修行で磨いた腕で調理した「ちゃんこ佐藤」オリジナルだ。
旭小児童は毎年、学校田で育てたコメを三条市に避難している人たちにプレゼントしている。今回は6年生全員11人が、コメのプレゼントのほかに、佐藤さんの塩ちゃんこといっしょに自分たちで握ったおにぎりを食べてもらおうと、80個のおにぎりを持参した。
三条市に避難している人には、午前11時半から午後2時のランチタイムの来店を案内した。震災から2カ月後の5月に三条市で生まれた粋くん(3つ)と訪れた鈴木道子さん(42)は、児童が運んでくれたおにぎりに「ぎゅうっと握ってくれて愛情を感じる」とおかわりし、粋くんもおいしそうに塩ちゃんこを平らげた。「福島県同士のなまりが聞けたり、こうして交流できるのがうれしい」、「佐藤さんの頑張りには励まされます」と話していた。
この日のオープン前、避難生活を過ごした三条市体育文化センターから借りた大鍋に塩ちゃんこを作る佐藤さんは、「避難所で作ったときのことを思い出します」、「きょうは大一番、皆さんに楽しんでもらえたらうれしい」、「前向きな自分を見てもらい、勇気と元気をもってもらえたら」と話していた。