13日、三条市で行われた「7.13水害追悼式典」で式辞を述べた国定勇人市長は、ちょうど10年前に三条市で9人の命を奪った7.13水害のつらい体験から得た教訓を忘れず、「災害に強いまち、人の命を守り続けていく体制の構築をひたむきに愚直に続ける」と10年の節目にあらためて誓った。
平成16年新潟・福島豪雨がもたらした7.13水害は五十嵐川を破堤させ、嵐南地区一帯を水没させて9人もの尊い人命を奪い、1万戸以上が被災するなど甚大な物的被害をもたらす未曾有の大災害となった。そのことを振り返り、国定市長は「私たちは忘れません。9名の尊い命が失われたことを」と冥福を祈った。
「残された者としての責務を強く感じずにはいられない」、「未曽有の大災害を受けたわれわれにとって、市民の生命財産を守るため災害に強いまちづくりに邁進することは三条市行政にとっての、1丁目1番地であり最重要課題」と示し、最も重要な防災対策の治水事業については、国土交通省と新潟県の尽力、市全体の利益を優先して移転した沿線住民に敬意と感謝の言葉を述べた。
防災面で重要なのは「行政のなすべきことだけでなく市民一人ひとりの自助の意識を育てていくこと」。三条市防災総合アドバイザーの片田群馬大学教授の言葉として「災害から時が経つにつれて記憶の風化と聞かれる、風化とは忘却ではなく、自分たちの文化にすることである。大災害から学んだ教訓を脈々と後世に伝えていき、その教訓が当たり前すぎることとして地域住民の心に広く備わっていくことが風化である」と紹介し、「7.13水害、7.29水害の悲惨な経験とそのこで得た経験をしっかりと未体験世代の子どもたちに引き継ぐことで真の意味での風化を市民にもたらしていきたい」。
最後に、「私たちは忘れません。10年前のつらい体験から得た教訓を。そして、お亡くなりになられた方々のためにも誓います。災害に強いまち、人の命を守り続けていく体制の構築を、ひたむきに愚直に続けることを」と誓い、協力を求めた。
森山昭三条市議会議長のあいさつのあと、来賓の太田昭宏国土交通大臣、泉田裕彦県知事はじめ国会議員など10人があいさつ。太田大臣は、「多くの市民が不安のなかで深い悲しみに沈まれたことと思います。そのようななか、復旧復興に向けて励まし合い、歩みを続けた市民の皆さま、それを支え、万全なまちづくりを進めてきた国定市長はじめとする三条市の皆さま、関係機関のご努力ご尽力に心から敬意を表します」と述べた。
児童生徒代表の言葉として、第一中学校3年の堀尚行さんが登壇。自分の家も被害を受けたが当時4歳で水害のことは覚えていない堀さんは、家族や地域、学校でその時のことを教えてもらい、本当に大変な水害だったと知ったと言い、「わたしたち一人ひとりが災害から身を守り、そして地域の一員として助け合える行動をしていかなければならない。そして私は家族、友達、助け合える地域を大切にし、災害に強いまちづくりに貢献していきたい」と誓った。
このあと代表献花を行い、閉式。第2部の陸上自衛隊東部方面音楽隊の演奏、同音楽隊と第一中学校吹奏楽部との合同演奏に移った。