三条市庭月、道の駅「漢学の里しただ」では、27日、8月10日の2日間コースで体験教室「いっかん張り作り体験」を開き、竹かごに和紙を張り、柿渋を塗って仕上げる「一閑張り(いっかんばり)」と呼ばれる技法で地元の「大谷地(おおやち)和紙」を使った盛り皿などを作る。
2日間とも午前10時から午後3時まで行う。1日目は盛り皿のような浅い竹かごに和紙を張る下張と、絵を描いた大谷地和紙や色和紙などを張るデザイン張り。2日目は防水や防虫の効果も期待される柿渋を塗る仕上げを行う。
和紙を張ったあと作品を乾かす必要があるため、週をまたいでの全2回の講座で作品を完成させるが、1回だけでも参加できる。
講師は、日本絵手紙協会公認講師でもある三条市三柳の土田正子さん。土田さんは休職中だが看護師で、そのかたわらで絵手紙を続け、東京に4年間通って公認講師の資格を取得。上京のたびに「新潟にはいいものがある」と新潟の魅力を再認識した。
その“いいもの”のひとつが三条市・旧下田村の大谷地地区で作られている大谷地和紙だった。同地区の農閑期の副業として1621年に始まり、江戸時代には年貢をコメの代わりに和紙で納めるほどの和紙の産地になったが、大量生産で安い洋紙におされて需要が減り、1960年ころに製造が途絶えた。
しかし、2008年に同地区の有志が大谷地和紙保存会を発足し、半世紀ぶりに和紙づくりを復活させた。材料を煮たり紙をすく手法には試行錯誤の部分もあるが、原料となるコウゾなどは下田産、製造方法も古くからの方法に習い、手間暇を惜します、すべて手作業で作られる。
その風合いなどにひかれた土田さんは、大谷地和紙を生かしたいとさまざまな角度から調べ、研究している。和紙の他産地にも出かけて話を聞くこともあり、昔ながらの大谷地和紙の製造方法は、現代では逆に難しいことと驚かれると言う。あらためて「大谷地和紙」の本物の価値を認識している。
今回の体験では、大谷地和紙について、柿渋についてなども話しながら進める。また、一閑張りは古くなったり、壊れたかごをリメイクするためにも用いられたもの。その方法は覚えやすいので、「自宅で眠っているかごなどを、もう一度、使えるものに生まれ変わらせることができるようになります」と参加を呼びかけている。
参加費は1人3,000円で、定員は15人。参加者はエプロンと手をふくタオルを持参する。申し込みは、「漢学の里しただ」(電話:0256-47-2230)へ。