三条市下田地区・北五百川に築80年余りになる店舗兼住宅をリノベーションしたギャラリーとカフェ「傳七茶屋」(でんしちぢゃや)がオープンした。
粟ヶ岳の裾野の駒出川沿いに建つ若林商店の旧店舗兼住宅。オーナーの若林由郎さん(53)家族が40年前に隣接地に移ってからは、物置となり荒れ放題だった。
数年前にギャラリーにしないかとの話もあったが、3年前の7.29水害で床上浸水して大きな被害を受けたため中断。その後、後片付けなどを終え、1年ほど前から建物を活用しようと若林さんを含めた友人20人ほどで本格的なリフォームを行った。
大工を生業とする人はいなかったが器用な人は多く、休日などを利用して床の張り替えや壁の塗り直し、カウンターの設置、テーブルや窓枠も手作りした。
2階の倉庫だった部屋がカフェ、住まいだった畳の部屋の一部がギャラリーとなり、7月5日にオープンした。店名にある「傳七」は、オーナーの本家の屋号。今のところ貸切などをのぞいて土曜と日曜の日中だけ営業している。
35畳分というゆったりとしたスペースのカフェは、若林さんの先々代が収集していたという木材を使ったスギ、ケヤキ、カヤの3種類のテーブルをはじめ木のぬくもりと白壁が落ち着いた雰囲気。窓からの、駒出川の澄んだ流れと緑の景色が美しい。
音楽好きやオーディオファンには興味深いドイツの映画館用のスピーカーや伊藤多喜雄氏のアンプが目を引く。機器は知人からの借用品だが、レコードはクラシック、フォーク、ジャズ、ポップスと幅広いジャンルの千枚以上のコレクションがあり、オーナーがリクエストにこたえてくれることもある。
営業はまちまちだが、土曜と日曜の午前10時から午後4時ころまでで、メニューはコーヒー(400円)とビーフカレー(800円)。澄んだ駒出川の流れや緑の景色と音楽を楽しみながらのコーヒータイムは、ぜいたくな時間が過ごせる。
店は北五百川の粟ヶ岳登山道入り口や北五百川の棚田に向かう駒出川沿いで、青い欄干の「五百川橋」のたもと。八木ヶ鼻温泉「いい湯らてい」や八木ヶ鼻オートキャンプ場から数分。