災害時に全国の畳店から避難所に新しい畳を無料で届けるプロジェクト「5日で5000枚の約束」の実行委員会(前田敏康委員長)と三条市は12日、災害時における畳の提供に関する協定を締結した。
午前8時45分からに市役所で締結式を行い、前田委員長代理の植村守副委員長(植村畳・兵庫県豊岡市)が出席し、同プロジェクトに参加する三条市内の畳店、富岡産業=鶴田=の衣川昇さんと今井畳店=興野2=の今井宏行さんも同席。あらかじめ前田委員長が署名した協定書に国定勇人三条市長が署名した。
このプロジェクトは2012年スタート。災害が発生した時点で全国の畳店が畳を提供、集積して被災地へ届けるというもの。参加畳店にとっては備蓄しないので保管場所を含む備蓄費用が軽減できる。体育館などに開設されることが多い避難所では冷たい床での生活のつらさを和らげることができ、備蓄しないので衛生的な新しい畳で過ごせる。
7月末現在で全国182店・社が参加し、合わせて5,122枚の提供の申し出がある。県内で参加しているのは、三条市内の2店ほかに長岡市の2店の計4点。協定を結んだ自治体は兵庫県の神戸市、豊岡市、和歌山県の和歌山市に次いで三条市は4件目、東日本では初めて。まだ実際に畳を提供した事例はない。
今回は市内の畳店が三条市に声をかけて協定の締結が実現した。上村副委員長は「床よりは畳の上で寝転んで安らげる。畳自体も抗菌作用や有害物質の二酸化窒素を吸収するさまざまないい効果が畳にある。そういう効果を味わっていただきたい。苦しい避難生活のなかで少しでも安らいでいただけたら」と願った。
国定市長は10年前の7.13水害や東日本大震災での避難者の広域受け入れで大規模な避難所を開設したことにふれ、避難所のストレスがたまる開放的な空間で、「少しでも自分だけの空間ということであったり、日常生活により近い感覚をっていうことは絶対に求められるところ。逆にいうとぼくらはそこが配慮に欠けた避難所運営を今まで余儀なくされていた」と振り返った。
畳は「少なくとも一畳一畳っていう形で目に見るところでなんとなく空間の区切りっていうものを視覚的にとらえられる」とし、「ほぼすべての日本人が畳に慣れ親しんでいると思いますから、そういう意味でも非日常的な空間の避難所でありながらもそこに座ってるときだけはなんとなくストレスから一時的に解放される」と協定を歓迎した。