墓参りの13日は夜、墓参りをしてから母方の本家へ仏壇に手を合わせているのを恒例にしてきた。しかし、おじ、おばも80歳くらいになり、夜の訪問も迷惑かと、ことしは午後すぐに訪問。おかげで珍しく夜の予定のない墓参りの13日となった。
昼前にフェイスブックで“なおぽん”こと、株式会社新栄食品=三条市栗林=の高橋直彦事業統括部長の投稿を見た。同社は、だし専門店「だし屋ジャパン」でだしのブランド化を図っている。13日から17日まで燕三条地場産業振興センターで開かれている「じばさんお盆フェア2014」に出店し、かつお節の厚削りでうま味を出した「うまみカレー」を販売していると言う。ちょうど小腹が空いたところだったので、本家の訪問から返るとすぐに地場産センターへ向かった。
お盆フェアの具体的な内容までチェックしていなかったが(失礼)、燕食品の燕餃子、佐久間食品の豆乳やドーナツ、ジェラート、それに和洋菓子のさかたやと、なじみの店が並んでいた。懐かしい顔にも出会ってついテンションも上がる。
なおぽんの「うまみカレー」は、かつお節が味に深みをつくってくれ、想像した通りのおいしさだった。なおぽんのフェイスブック作戦のトラップにかかった人は多く、投稿につられた分だけで10食以上を販売したようで、なおぽんの夜の友だちもたくさん来ていた。
藤井大輔&芳輔の鉄道コラム「鐵道双見」でおなじみの藤井兄弟にも遭遇。東京在住の兄が墓参りの日だけ帰省。地場産センターでのお目当ては、九州を走る人気トレイン「ななつ星」の車内食堂で使われているカトラリー、燕市の山崎金属工業が製造する「デュードロップ」を見ること。盆期間限定で特別展示しており、スプーン、フォークナイフなど1本数千円もする洋白銀メッキの金属洋食器7本が並ぶ。同社がJR九州から受けた感謝のプレートも展示。藤井兄弟の鉄道愛には一点の曇りもない。
三重県・菰野町
気になったのは交流出店している三重県・菰野(こもの)町と山形県・南陽市だ。菰野町は2011年に三条市と災害時応援協定を結んでおり、その年の7.29水害では菰野町から応援やボランティアが訪れた。菰野町の鈴鹿山麓かもしかハーフマラソンには三条市が出店し、三条市は市民の参加を募るなど関係を深めている。
先の台風11号の接近に伴う豪雨で、三重県には大雨特別警報が発表された。菰野町にも被害があったのではないかと気になり、菰野町のホームページもチェックしていたが、とくに被害を伝える情報はアップされていなかった。実際のところを確かめようと、出店していた菰野町観光産業課観光商工推進室観光振興係長の東村宗尚さんに聞くと、三重県内でも被害があったのは南部地域で、北部にある菰野町にはほとんど被害はなかったという。
大学時代、三重県の松坂市出身の親友がいたが、それだけでもどこか三重県にはシンパシーを感じる。販売しているものでまず目に止まったのが「蚊やり豚」。蚊取り線香を入れる豚をかたどった陶器のアレだ。地元で江戸時代中期に始まった萬古焼(ばんこやき)から生まれたもののようだ。
「蚊やり豚」の名称が気になる。“やり”はどういう意味なのか。東村さんが持参したQ&A集には答えがなかった。あとで調べるとのことだったが、こうやって文章を打っていたら「広辞苑」が教えてくれた。「蚊遣り」と変換し、「蚊を追い払うために、煙をくゆらし立てること」とある。それでも“遣り”の意味が気になるが、ひとまず解決した。
菰野町の名称は、イネ科のマコモが多く生い茂る野原であったことに由来するといわれる。マコモを特産として売り出しており、マコモを使ったカレー、ワッフル、ラスクなどを販売している。
菰野町御在所岳を中心とする鈴鹿山系には、ニホンカモシカが生息する。ニホンカモシカは、1934年に国の天然記念物、55年に特別天然記念物に指定されている。一方、三条市下田郷の笠堀は、71年に「笠堀カモシカ生息地」として史跡名勝記念物として国の天然記念物に指定されている。
菰野町と三条市にニホンカモシカという共通点があるのは発見だったが、生息地として国のお墨付きをいただいているという意味では三条市の方がよりニホンカモシカをPRできる立場にあるが、近年はほとんど注目されていないように思う。
菰野町観光PRキャラクターとしてことし4月、ゆるキャラ「こもしか」が誕生した。名前からも想像できるようにマコモとニホンカモシカを組み合わせ、ニホンカモシカの角がマコモになった、すっとんきょうな顔をしたキャラクターで人気を集めている。1年で最大の10月の三条マルシェに菰野町の出店、「こもしか」の来条を期待したが、菰野町は紅葉のハイシーズンで実現のハードルは高そうだ。
山形県・南陽市
南陽市は燕市との関係での出店だ。難病のため2003年に17歳で亡くなった燕市の岡村可奈子さんが作った詩を元に南陽市のシンガーソングライター、須貝智郎さんが『笑顔を忘れないで』を作曲した。以来、燕市の合唱団「コーロ・スプラウト」が須貝さんが地元で開いているコンサートに出向いたり、南陽市が燕青空即売会に出店したりと交流を深めている。
南陽市商工観光ブランド課ブランド推進係主任、岩瀬優子さんが、笑顔で特産品を紹介してくれた。果物の加工食品、サクランボ、リンゴ、ブドウ、洋ナシなどを使ったジュース、サクランボウォーター、ミネラルウォーターなど。13日にいちばん売れたのは「山形サクランボサイダー」(130円)で、さっそく飲んでみると、さわやかで“かわいい”という形容詞を使いたくなるような味で、おいしかった。
岩瀬さんのイチ押しは、山形県産の銘柄豚「山形豚」を加工したサラミやジャーキー。山形県はサラミの消費量が全国一とか。お茶請けにサラミが出てくるとのことだが、今まで一度もそんな経験はなく、想像し難い(笑)。まさに“所変われば”だ。
岩瀬さんの名刺にブランド推進公式サイト「南陽ブランド推進 -NANYO BRANDING PROJECT- すばらしい「なんようブランド」」を発信中」のアドレスがあることに気付いた。「南陽ブランド」に特化したサイトで、市や観光協会のサイトから独立したサイトで運営している。岩?さんによると独立したサイトの方がいろいろな制約がなくなってやりやすいとのこと。どこも事情は似たり寄ったりで、参考になるアイデアだ。
プライベートで立ち寄っただけなのに、気が付けば仕事モードになっていた。我ながらあきれるほどの貧乏性だ。もちろんカメラは持参していなかったので、写真はすべてiPhone。その辺りは御容赦を。