枯れ葉や樹皮を使ったはり絵「美里絵(みさとえ)」の創始者、多田清虹(ただ・せいこう)さん=栃尾市=の初めての本格的な個展「多田清虹 美里絵の心ー散り葉に心重ねてー」が15日まで弥彦の丘美術館で開かれている。
美里絵の原点となった砂や灰でダイコンをかじるネズミを描いた1972年制作の「砂ねずみ」から2012年までに制作した23点を展示。金賞7点をはじめ日本手工芸美術展の出品作や地元の栃尾美術館所蔵作品など、多田さんのこれまでの創作活動の集大成といえる展覧会になっている。
多田さんは1937年長岡市(旧栃尾市)生まれ。71年に樹皮、落ち葉、草花などを素材にした独創的な立体はり絵の世界に入った。のちに美里絵と名付け、独特な世界観を極めてきた。
作品は風景画が多く、枯れ葉や樹皮の色はそのまま風景にしっくりとなじむ反面、海の岩も見事に樹皮で表現する幅広い表現力を見せる。前景を上に重ねることで奥行きや立体感を表現できる。一方で素材を自然物にこだわっているばかりでなく、必要なら絵の具も使い、段ボールやアルミホイルも使う。好きな形に切り取ることでさまざまな表現が可能になる。
「天燃ゆる」は多田さんがまだ小学校2年生だったころに体験した長岡空襲をイメージした作品で、その空襲で失われた約1,500人の命をとむらう作品「葉脈三十三観音」、「枯葉三十三観音」も展示している。どこにでもある自然のものが作品として生まれ変わっている姿に、会場を訪れた女性は「枯れ葉でもこんなになるんだもんね」と感心し、「やってみたいね」と親しみも感じていた。7日は午後2時から2回目の多田さんによる作品解説が行われる。
午前9時から午後4時半まで開館、入館料は高校生以上300円、小・中学生150円。