新潟市西蒲区岩室温泉にある築百年以上の古民家「小鍛冶屋」をリノベーションしてオープンしてから1年になるイタリア料理店「灯りの食邸 KOKAJIYA(こかじや)」のこれまでの歩みを振り返る「灯りの食邸 KOKAJIYA展ー紡がれてゆくレシピー」が、9日から15日まで新潟三越=新潟市中央区=で開かれており、初日9日はKOKAJIYAにかかわったクリエーターなど約百人が出席してオープニングレセプションが行われた。
KOKAJIYAを運営する株式会社リトモ=新潟市西区=社長でオーナーシェフの熊倉誠之助さん(35)はあいさつで店を「地域に根差した交流の場」と位置づけており、「一致団結してこれからもいいお店づくりをしていきたい」とあいさつした。
KOKAJIYA出店の橋渡し役となった新潟市岩室観光施設「いわむろや」の小倉壮平館長は、熊倉さんについて「この人ならという人に巡り会えた」と言い、さまざまな声があるが「みんなから喜んでもらえる場所にしていきたい」と願った。
古民家は新潟市の補助金を受けて地域のコミュニティースペースとして活用されてきたが、補助が打ち切られることになったのに伴い、踏み込むか引くかの選択を迫られたなかで、KOKAJIYAとしての再生の道を選び、昨年9月5日にオープンした。
それから1年たち、熊倉さんに新潟三越でフードワークショップをといった話から、レストランを取り巻くプロジェクトについての展覧会を開くことになった。
これまでの歩みを時系列的に並べた表やKOKAJIYAにかかわったクリエーターの紹介、使っていない障子戸を持ち込んでこれまでKOKAJIYAで行ったイベントを撮影した写真、調度品など数百点を展示する。
説明的な展示ではなく、インスタレーションの手法で配置されたものから、KOKAJIYAを生み出し、歩んできたレシピを感じとってもらっている。
また、あわせて「KOKAJIYA×いわむろマルシェ」も開いており、西蒲区周辺のおいしいものを販売し、13日から15日までの3連休は「朝採りいわむろ野菜の青果市」を開く。期間中は毎日午後2時からフードワークショップ「私たちのにいがたレシピ」を行い、KOKAJIYAミニレシピと試食付きで参加費500円。
熊倉さんが参加する3人の料理人がチームを組むフードユニット、新潟ケータリング&フーデザインラボ「DAIDOCO(ダイドコ)」は期間中、新潟三越前にキッチンカーを横付けして新潟食材を使った期間限定カフェを開設している。
そして11日は午後7時から7階オープンキッチンでKOKAJIYAトークセッション「わすれられると、なくなってしまうもの。」を開き、ゲストに神奈川大学教授で2012年の水と土の芸術祭メイン会場の構成を担当した曽我部昌史さんと、山形で山伏修行の場づくりや精進料理による地域づくりを行う日知舎主宰成瀬正憲さんを迎え、KOKAJIYAプロジェクトメンバーとともに語り合う。