15日夜、燕市宮町、戸隠神社(星野和彦宮司)で初めての「お月見の会」が開かれ、同神社の権禰宜(ごんねぎ)渡辺大蔵さんの妻、志保さんが、秋の宵に神社拝殿でみやびな琴の演奏を披露した。
志保さんは静岡県静岡市出身で、琴を学んだ母の影響もあって17歳から琴を始め、生田流宮城会の教師の資格をもち、静岡市の国際交流課の事業で海外演奏の経験があり、大蔵さんが2011年までハワイ唯一の神社、ヒロ大神宮の宮司を務めたこともあり、毎月の奉納演奏や福祉施設での慰問演奏などを行っている。
今回は戸隠神社と地元の宮町氏子総代の主催で初めて「お月見の会」を企画し、志保さんに演奏を依頼。志保さんは昨年4月に帰国してから初めての演奏の披露となった。
拝殿は地元の人や邦楽が好きな人など60人余りでいっぱいになった。神前にススキと団子の代わりにまんじゅうを供えた。はじめに星野宮司が中秋の名月のことや月見に供えるススキと団子だが、本当は団子ではなくサトイモであること、中国は月餅を供えることなどを話した。
燕御神楽神伶会の神保新吉さんが神楽舞と竜笛の独奏で露払いのあと、志保さんが出演。月見にちなんで「荒城の月」と宇宙に思いをはせて「ジュピター」の2曲を演奏し、途中で太蔵さんが琴と紹介や琴とのかかわりを話した。
志保さんは、アロハシャツのブランドの黒いドレスを着て真っ赤な毛氈(もうせん)に置いた琴に向かった。戸を外した拝殿では秋の涼しい風が心地良く、秋の虫の音が共演。燕市内で琴の生演奏を聴ける機会はめったになく、つややかで豊かな響きの和音に来場者はうっとりと聴き入った。
「ジュピター」は元は管弦楽曲だが、琴のためにアレンジされて邦楽として生まれ変わり、その意外性にも引きつけられた。今も月に一度ほど琴のけいこに習っている遠藤愛子さん(70)=燕市西燕=は、「すばらしかったです。わたしなんかとは全然、違います」と感激していた。
志保さんは「半年以上前にわかればもっと練習できたんですけど」と謙そんして頭をかいた。竹井満喜子自治会長は「来年はもっと盛大にするわよ。来年はチケット出して、きょう来たくて来れなかった人も来られるようにしたい」と企画に大満足だった。