寺子屋つばさ実行委員会(高橋克典会長)は20、21日の1泊2日で燕市国上・本覚院などで、第8回食育学校「はらぺこ塾」を開き、燕三条の小学生40人がバナナ1センチだけやあめ玉など、わずかな食べ物で共同生活するという日常にない体験を通じて食事のありがたさなどを学んだ。
燕三条青年会議所が取り組んだ「寺子屋つばさ事業」の一環から始まった事業を同実行委員会が引き継ぎ、ことし7年目。日常ではありえない空腹を体験して食事のありがたさと両親への感謝、さらに仲間やスタッフの学生、おとなとの共同生活を通じて協力し、思いやる気持ちをもってもらうのがねらいだ。
今回の参加は、三条市と燕市の小学4年生から6年生の40人。スタッフは実行委員会メンバーのほか、県内の専門学校生と大学生、「全国てらこやネットワーク」を通じた千葉の大学生など17人で、子どもたちと同じメニューで1泊2日をともにした。
初日20日、午前9時半に国上体育センターで開会式を行ってスタート。親子食育講座、レクリエーションのあと昼食。本覚院に30分ほど歩いて移動し、太鼓教室、近現代史教育授業、入浴、写仏、夕食、きもだめしなどをして午後9時に就寝。翌21日は5時半に起床、朝食、座禅、掃除。国上体育センターに移動して昼食準備と調理。ニワトリの屠殺(とさつ)体験をし、そのトリを使って鶏雑炊を作り、正午から迎えに来た保護者とともに食事、閉会式の日程を体験した。
参加者は、水はいつでも飲めるが、そのほかは初日の昼食にバナナ1センチ、夕食は飴玉1個。2日目の朝食はりんご8分の1個、昼食は鶏雑炊のメニュー。
初日の午後6時ころからの写仏では、澁谷隆阿住職が「どんなときでも集中することとても大事です」、「集中するときと緩めるときとその加減を学んでください」と、集中することの大切さを諭し、観音菩薩の書かれた下絵に和紙を重ねて写した。子どもたちは1本1本の線に集中してていねいに手を動かし、まもなく本堂はペンが紙の上を動く音だけの静けさとなった。
続く夕食は、小さなドロップあめ1粒だけ。口に入れた瞬間に「超おいしい!」の声があちこちから聞こえた。「まだ(空腹は)大丈夫」という女の子もいたが、「もう2時ころにぐーってなった」とすでに空腹を体験し、1粒のあめ玉が「いつもよりおいしい」と貴重な食べ物となっていた。