笠堀ダムが昭和39年(1964)の完成から50年を迎えたのを記念した「笠堀ダム50周年記念講演会」が20日、三条市諸橋轍次記念館で開かれ、ダムマイスターによる講演や現場見学会に県内外から120人余りが参加した。
ダムの実態や役割や魅力を伝えるボランティア「ダムマイスター」の称号をもつ一般財団法人ダム技術センターの川崎秀明首席研究員が「ダムの機能と地域振興」をテーマに講演し、笠堀ダムの見学会を行った。また、参加者には枚数限定の笠堀ダム50周年記念ダムカードをプレゼントした。
笠堀ダムは、三条市笠堀の一級河川信濃川水系五十嵐川支川笠堀川に建設された重力式コンクリートダム。洪水調整、上水道、農業用水、水力発電を目的とした多目的ダムとして1、1964年に9月完成。県営のダムでは、村上市の三面ダムに次いで2番目に古い。
完成50周年を記念して、ダムの治水や利水への役割、魅力などを知ってもらおうと、新潟県三条地域振興局の主催で開いた。応募締め切りを前に定員を上回る応募があり、県内82人と兵庫や三重、東京、千葉、神奈川、岐阜、山形、福島など県外から41人の子どもからおとなまで幅広い年齢層の計123人が参加した。
講演は、ダム工学と風土工学の観点からのサブタイトルで、こしの国の経済発展史、信濃川における災害史や治水と利水、ダムの役割や再開発、ダムと地域振興などについて1時間余りで、メモを取りながら聴く人もいた。
質疑では、県内の人から三面ダムが60年、笠堀ダムが50年と古くなっているが、コンクリート建造物の寿命など安全対策はどうなのか、また、ダムや川の水質をよくするような方面にも力を入れてほしいとの声もあった。
講演会後は、2回に分けてマイクロバスで笠堀ダムの見学を行った。笠堀ダムは、平成23年7月新潟・福島豪雨による7.29水害を受けたため、貯水容量を増やすために、平成29年度の完成を目指して全国的にも珍しいダムのかさ上げ工事を行う。それに伴う関連工事が始まっているため、すでに一般車の立ち入りはできなくなっており、工事前のダムの姿を見る貴重な機会にもなった。
三重県の43歳男性は、家族4人で車で来条。ダムカードの収集も楽しみにダムは200カ所余り訪れているダムファンだ。
千葉県の35歳男性も車で訪れ、ダムに携わる人の話はおもしろかったが、1時間余りの講演では短く、もっとじっくりと聞いてみたかった、新潟など洪水被害がある地域のことを知ることができて勉強になったと話していた。