未来の生活を考える会・三条は21日、三条市総合福祉センターで東日本大震災後の福島を描いたドキュメンタリー映画『遺言 原発さえなければ』上映&豊田直己監督講演会を開き、約100人が鑑賞した。
2011年3月の東日本大震災の発生翌日に福島第一原子力発電所事故の取材に駆けつけたフォトジャーナリスト豊田直己さんと野田雅也さんの2人が共同監督となり、2013年4月までの3年にわたってその土地の人々とともに過ごした日々の記録をまとめた250時間の作品。
上映前のあいさつで豊田監督は、この映画を見て「学んでもらおうとは思っていない。何かを感じてもらえれば」、「福島はそういうものかとわかった、というよりも、単純に映画の世界に入っていただいて感じてもらえれば」と話した。
映画は2部全5章で、1部の「汚染」「決断」、「避難」、2部の「故郷」、「遺言」という構成。原発事故の影響を受ける複数の酪農家を中心に、3年間の状況や思いが映された作品。ナレーションはなく、そこに映る人たちの言葉でつながれている。会場では、第1章から涙をふく人もあり、作品に引き込まれた。
50歳代の男性は「すごいことが起きてるんだなと、あらためて思った。許せないというか、やるせないような感じ」。原発事故の大きな影響を知る一方、豊田監督への質疑では、一時は避難したものの福島での生活を再開している人たちが原発事故の影響について「覚悟したのに(いつまでも)言ってほしくない」という気持ちもあること、家族がばらばらになっていることなど、4年目となった今の状況や立場はさまざまなことを知り、複雑な思いになったとも話していた。