三条パール金属スタジアムの指定管理者、株式会社丸富(柴山昌彦社長・本社三条市若宮新田)は、昨年度に続いて高校でも野球を続ける中学生3年生を対象に「パールスタジアム野球アカデミー」を開設しており、22日は今年度の野球アカデミーアドバイザー、ジャイアンツOBの松本匡史さんが初めて指導に訪れた。
中学校野球部は軟式野球だが、野球部を引退した中学3年生から高校の野球部に入るまでの間、硬式野球に慣れてもらおうと昨年度から開設している野球教室。今年度は7月末にスタートし、3分の2は市外からの3年生30人が登録し、ほぼ毎週、練習している。
ふだんは丸富社員2人を含む県内高校野球の強豪、中越高校野球部OB3人が講師を務めているが、それとは別にアドバイザーを置いている。昨年度は元新潟アルビレックスBC監督の芦沢真矢さんを迎え、今年度は松本さん。ジャイアンツ時代は外野手で“青い稲妻”と呼ばれて盗塁王も獲得する活躍で、球界に大きな足跡を残した。
22日はその松本さんによる初めての指導。旧南小学校体育館で行い、ユニホームを着た生徒はキャッチボールを行ったあと、松本さんの話を聞いた。
松本さんは、キャッチボールはいちばん大事で、硬式は球が重いのでちゃんと投げないと肩を痛めると、注意をうながした。投げるのがうまい人は打つのもうまく、それはトップの一が同じだからで、何気なく投げるのではなく、足の使い方、テークバック、ひじの位置などを意識しながらキャッチボールをしないと意味がないと、技術の理論をかみ砕いてわかりやすく、諭すように話した。
松本さんが生徒にこれからどうしたいか質問すると、生徒は高校ですぐにレギュラーになりたい、甲子園を目指したい、自分のなかで崩れない芯をつくりたいなどと答えたが、生徒の声が小さいことの方が気になり、「大きな声を出さないと絶対にいい選手にはなれないし、監督の目にとまらない」と積極性を求めた。
しかし、ただ上から押しつけるのではなく、野球ができる環境にあることを親に感謝するよう求めながらも、自身はそれができなかったと言い、生徒のためには反面教師となることもいとわなかった。練習が終わるとすぐに保護者に振り返って「どうもありがとうございました」と一礼し、生徒よりも松本さんの現役時代を良く知る保護者の方が恐縮していた。
練習後、松本さんは「きょうは初めてだったので、自分の野球に対する思いを伝えたかった」と言い、「野球を続けるうえで、これからいちばん大事なところに入り、いろんなことが起きると思うが、逃れないで向かっていってほしい」と熱く話した。松本さんは今年度末まで毎月、指導に訪れる予定。