燕三条地域の工場など59拠点を開放する「燕三条 工場(こうば)の祭典」が2日始まり、県外を含めさまざまな人たちが来場している。
オーストラリア人のジェームス・ワーデン(James Warden)さん(55)は日帰りで訪れ、2日朝に三条鍛冶道場で行われたオープニングセレモニーも見学した。妻はオーストラリア大使館の職員で、住まいは麻布十番。1年前に築地で買った2本の包丁が株式会社タダフサ=三条市東本成寺=の製品だった。
たまたま代官山の蔦谷書店で工場の祭典のパンフレットを見かけてタダフサが参加していることを知り、製造の現場を見てみたいと来場した。タダフサの包丁についてワーデンさんは「美しい切れ味ですばらしい」、「今までの包丁とは比べものにならない」と大絶賛。あらかじめタダフサのカタログを見て新たに買うタダフサの包丁を決めており、「ほかにも燕三条にいいものがないか、探検したい」と話していた。
上智大学経済学部経済学科の同じ研究室の3年生は、7人が2、3の1泊2日で訪れた。3つのグループにわかれて各企業を回ることにし、男子4人は燕三条地場産業振興センターでレンタサイクルを借りて回った。
産業クラスタ、地方の地盤産業の集積地などの研究が目的で、金属加工の先進地であり、一方で職人技が残っていることにも興味をもっていた。
午後6時から工場の祭典実行委員会の日野浦睦実行委員長が働く日野浦刃物工房=三条市塚野目=で行われたレセプションには、関係者と来場者が半々の約20人が参加した。テーマをもって旅をするのが好きな北海道から訪れた男性、大学でともに造形を学んだ東京都の神奈川県に住む友だちの女性2人はオフィシャルツアーに参加し、自身も大学時代の手掛けたことのある鎚起銅器の玉川堂=燕市中央通2=に感激していた。
大阪府から訪れたデザイン系の大学に通う女子大生は、卒業制作のリサーチにと来場した。東京都・武蔵大学社会学部4年の吉田昂樹さん(22)は三条市元町の出身。地場産業に対する地域住民の愛着について卒論を書くのに伴い、取材で来場していた。