国道289号の八十里越が開通したら再びみんなで集まってタイムカプセルを開いて10歳のころを思い出してもらうおうと、八十里越で結ばれる三条市と福島県・只見町は9日、八十里越で両市町の小学生3、4年生によるタイムカプセルの埋設式を行い、早期開通を願った。タイムカプセルを開く日はいつ開通するかにかかっている。
参加した小学生は、三条市側が森町小、只見町側が只見小、朝日小、明和小の4校の3、4年生80人余り。それぞれの市町からバスに乗ってタイムカプセルを埋める8号トンネル新潟側杭口で合流し、午後2時から埋設式を行った。
この日の三条は最高気温25.3度の汗ばむ陽気で、紅葉にはまだ早かったが気持ちのいい秋晴れに恵まれた。三条市の国定勇人市長は、只見町の小学生が県境を越えたときにバスの車内で万歳が起きたと聞いたことを喜びながらも、万歳をするほど喜ぶ状況をかみしめなければいけないと話した。
10歳の小学生たちは、開通するとされる10年後には“はたち”になり、その前に車の運転免許を取るので、飛田潤一長岡国道事務所長を指して「みんなが車の免許を取るときには、只見の子は三条に、三条の子は只見に自由に通行ができるようにしてくれるはずです」と、子どもたちと声を合わせて「よろしくお願いします!」と頭を下げ、飛田所長は「頑張ります」。最後に「皆さん、きょうという一日を決して忘れないでください。未来に向かって頑張っていきましょう」と鼓舞した。
只見町の目黒吉久町長は「(八十里越事業の)完成は10年後、あるいはそれより早くなるか、皆さんが成人を迎える年、免許を取る年に早まればと願っている」、タイムカプセルを開けるときは「全員、この場所に集まっていただきたい。その日が一日でも早く来ればいいなと本当に心から思ってる」、そして子どもたちには、たくさん勉強して、「自分たちが将来、三条市と只見町を行き交うときに立派なおとなとしていろんなことに取り組むことができるために、これからの10年間、8年間、いろいろ考えて仲良く勉強していただければ」と願った。
飛田長岡国道事務所長は、開通して両市町がつながることは、「ここだけのつながりではなく、日本の横断する道路の1本がつながるということで、いろんな災害の広域の支援の道になったり、いろんな活用ができる。将来、きょうここに来て埋設する皆さんが、この道路ができるときに、この場所にもう一度、集まっていただいて、わたしと一緒にみんなでもう1回、掘り起こせればな」と期待した。
各小学校代表の児童が未来の自分へあてた手紙に込めた思いを発表した。森町小4年の渡辺世梨さんは「カプセルを取り出すとき、わたしはどんなおとなになっているのか楽しみです」、同大竹歩花さんは「開通したらみんなでお弁当を持って遠足に行きましょう」、只見小4年目黒巧馬さんは「三条にすぐに行けるようになって良かったね。買い物が便利になったり、病院にすぐに行けるようになったりして良かったね」、朝日小4年目黒望さんは「強い子ども、例えくじけても次に向かって頑張ろうと思う心を大切にしていきます」、明和小4年三瓶楓さんは「三条市と只見町がつながったら三条市の人にも只見のすばらしい自然にふれてほしい」とそれぞれ話した。
タイムカプセルは、児童が10年後の自分にあてて書いた手紙を学校ごとに1つのタイムカプセルに入れて埋めた。タイムカプセルは薬のカプセルのような形をしたステンレス製で、長さ48センチ、直径は接合面を除いて14センチ。各校児童代表がそれぞれの学校のカプセルを長岡国道事務所の職員から穴に入れてもらい、国定市長、目黒町長と一緒にスコップで土をかけた。ほかの児童も順番に土をかけて埋設式を終わった。
只見小4年目黒巧馬さんは、「初めてタイムカプセルを埋めることができてうれしかった。10年後、また、ここに来て掘り出すことができるのが今からうれしい」と話していた。
燕市と只見町の話し合いのなかからタイムカプセル埋設のアイデアが生まれ、それに長岡国道事務所が協力して実現した。タイムカプセルは開くまでの時限は決まっていない。それは八十里越が開通した日で、子どもたちの夢の実現はひとえに八十里越事業の完成にかかっている。