来年5月に三条別院(池守章輪番)で行われる宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要の記念事業の一環で真宗大谷派三条教区(池守章所長)は修復の終わった旧御堂を会場に20日から来年4月11日まで6回シリーズで親鸞聖人讃仰講演会を開いている。
20日はその初日で、午前1時半から開会式、2時から東京教区東京2組蓮光寺の本田雅人氏が「安心して迷いながら生きるられる道」をテーマに1時間の法話を行い、約80人が参加した。
開会式で池守所長は修復の終わった旧御堂について、「いつでも親鸞の話を聞ける場所を作ろうと願われたことがこうして実現した」と関係者に感謝した。
法話で本田氏は、真宗門徒でも念仏や往生、成仏、浄土などの意味がわからなくなっていると始め、前日19日に俳優高倉健の死去が伝えられたことにふれ、高倉プロモーションが発表したコメントにあった「往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし」について言及した。
これは大乗仏教の「嘆仏偈(たんぶつげ)」の最後の4行の「假令身止 諸苦毒中 我行精進 忍終不悔」の後半部分で、高倉健が座右の銘にしていた。天台宗の比叡山の高僧からこの言葉をいただいたらしい。
法蔵菩薩(ほうぞうぼさつ)が48の願をたてる前の願いをあらわした4行で、読みくだしは「たとひ身をもろもろの苦毒のうちに止(お)くとも、わが行、精進にして、忍びてつひに悔いじ」。高倉健さんは何かを感じていたと思う。自分の行ではすまされないようなものに出会って行かれたら、もっと深められたのではないか。偉そうな言い方だが、高倉健さんに一言、お話ししたかった。あの方を見ていても本当に苦悩にぶち当たっていったら、他力本願の教えに行き着くんじゃないか」と想像し、話を進めた。
三条別院では、御遠忌法要に向けて1年がかりで本堂の修復をはじめとした整備工事が行われ、10月25日に完工した。整備工事のなかで1879年の三条大火で本堂が焼失したために仮本堂として建設された旧御堂の修復工事も行われた。
旧御堂は建設から130年以上もたち、すきま風が吹き込み、冷暖房もなく、夏や冬は利用できない状態だった。今回の整備工事ではこの旧御堂も大規模な修復が行われ、冷暖房も完備した。
旧御堂は立て付けが悪くなって正面の戸が開かなくなっていた。ふだんは隣接する同朋会館の玄関を入って渡り廊下から旧御堂へ向かうので問題はないが、今回の工事ではもちろん戸が開くようになったので、あえて正面の戸を開けて正面から入ってもらい、地域に開かれた三条別院も体現した。
旧御堂が修復されたことから今回の講演会を初めて企画。三条教区が要望した6人の講師を迎えて同様のタイムテーブルで法話を聴く。誰にで門戸を開き、無料で自由に聴講できるので、広く聴講を呼びかけている。今後の日程や講師、演題は次の通り。