燕市の染色家の中村清子さん(37)と昨年夏に神奈川県から新潟市へ移住した書家の石崎甘雨(かんう)さん(38)による二人展「甘い雨と清い傘展」が30日まで新潟市旧齋藤家別邸の土蔵Galleryで開かれている。
中村さんは東京都渋谷区に本部を置くモダーン手描染アカデミーの認定講師。鎚起銅器職人の家庭に育ち、ストール、ニット、ドレスなどのファッションをはじめ、タペストリーやテーブルクロスといったインテリアの染めも手掛ける。教室では身の回りのモノに「想いをプラス」するワークショップを行っている。
石崎さんは縷縷Lulu書道教室を主宰し、神奈川県鎌倉市と東京都新宿区に教室がある。文字に思いをのせること、言葉と墨の表現をこよなく愛す。個展の伝統美を学びつつ、元DTPデザイナーの経験を生かしたデジタル書道作品まで、社名、店舗名ロゴ、日本酒などの商品ロゴの揮毫(きごう)、題字、デザイン表札も。毎日書道展審査会員の小池蹊舟さんに師事し、書道芸術院審査か委員候補、白扇書道会評議員で、毎日書道展では何度も入選。都内では数多く個展を開いてるが、新潟では今回が初めての展示だ。
今回の二人展は、ふたりの共通の知り合いがきっかだった。中村さんは、その知り合いに紹介されてことし3月、渋谷のギャラリーバー「Gallery mu」を訪れた。そして6月、2回目に訪れたときに石崎甘雨さんの個展が開かれていてふたりは知り合った。
そのときはまだ石崎さんは中村さんが染色家とは知らず、新潟での再会を約束しただけだったが、実際に再会してから二人展の話がとんとん拍子に進んだ。中村さんがことしに入ってから始めた傘の染色が注目を集めていた。それが石崎さんの雅号“甘雨”と結びついて一気にイメージが膨らんだ。石崎さんの「甘い雨」と中村さんの名前の“清”の字をとって「清い傘」をつないでタイトルにした。
二人展のメーンとなる作品は、石崎さんが約300×150センチの紙に「寒椿」と書いた大作を中心に、左右に中村さんがツバキの花を染色した赤と黒の2色の6本の傘が華やかに彩るコラボレーション。ほかにも中村さんがが染色した布に石崎さんの色紙を下げて軸装のようにした作品や、石崎さんの書を中村さんが型に起こしてデザインを加えて染色した作品でもコラボし、ふたりにとって新しい表現を生み出している。
ほかにも中村さんは傘を中心とした作品を展示。石崎さんはデザイナーの経験を生かしてポスターもデザインし、自身の書をデザインしたカレンダーの販売も行っている。また、石崎さんは自由律定型詩“五行歌(ごぎょうか)”の歌人でもあり、自作の歌をデザインした作品も展示している。午前9時半から午後5時まで開場、入館料は一般300円、小中学生は100円だが土、日曜は無料。