新津青年会議所(東村里恵子理事長)は、1日午後7時から新潟市秋葉区文化会館で衆院選新潟4区の立候補予定者をパネリストに公開討論会「郷土の明日を4区(よく)考えよう」を開いた。パネリストは金子恵美氏(36)=自民・前=と西沢博氏(34)=共産・新=の2人で、もうひとり4区から立候補する菊田真紀子氏(45)=民主・前=はスケジュールの都合がつかず欠席した。
一昨年の衆院選でも同様の公開討論会を開いたが、今回、立候補予定の3人を含む立候補者4人全員が出席した。新津青年会議所では菊田氏が出席してくれるよう調整を図ったが、最終的に2日前の29日に欠席が決まり、菊田氏を除く2人による公開討論会の開催を菊田氏も了解したとしている。約100人が来場したが、現職が欠席したことで有権者にとっては大きく興味をそがれる公開討論会となった。
最初の質問は、注力したい分野と4区の現実について。金子氏は、これまで市議、県議、国政で取り組んできた厚生分野、とくに持続可能な社会保障制度の構築に注力する。消費税の増税分が一部、社会補償費に充てられていないという報道があるが、平成26年度の増税分4.3兆円はすべて社会保障費に充てられている。医療費の抑止に資する取り組みをした人にヘルスケアポイントの導入、現金の給付を行う。へき地医療、地域医療を守る医師の確保、介護人材の確保に取り組む。
西沢氏は、青年の雇用問題にずっと取り組んできたので、奨学金制度の問題、ブラック企業規制法の制定に取り組みたい。派遣は臨時的、一時的業務に限定し、非正規雇用から正規雇用への流れをつくりたい。しかし安部政権は改悪しようとしている。奨学金は自身も借り、今も返済している。世界の先進国は給付制が当たり前。せめて無利子の奨学金制度にしてほしい。四区の現状は、消費税で大変厳しく、農家も米価が暴落し、しっかり補償の必要があるとした。
経済成長政策について。西沢氏は、消費税の問題で、景気を悪化させたのは安倍首相も認めている。増税不況は明らか。増税はきっぱりと中止すべき。アベノミクスは格差拡大と景気悪化を招いただけ。アベノミクスの2年間で資産が100億円以上増えた大株主が全国で少なくとも100人いる。トヨタは史上最高の利益。一方で庶民の暮らしは増税、物価高で大変。15カ月連続で賃金が下がった。非正規雇用が大きく増えた。暮らし第一の政策を提案する。人間らしく働ける雇用のルールをつくる。社会保障の連続削減をストップし、暮らしを支える。TPP交渉から撤退し、農林水産業や中小企業を振興したい。
金子氏は、安倍政権は経済政策を第一に進んできた。3本の矢のうち、ひとつめ、ふたつめの矢はうまく刺さったが、3本目の矢、成長戦略の部分が具体的になっていなのは真摯(しんし)に受け止める。アベノミクスで株は倍になった。株は年金の運用益、積立金につながり、25兆円の富を生んだ。株が上がって悪いことはない。円安効果の恩恵を受けるのは一部だが、経済が少しでも循環し、上向きになった。アベノミクスはまだ途中の段階。3本目がきちんと突き刺さったときに恩恵、暖かい風が吹く。成長分野、とくに成長志向のある分野に重点を置いた法人税改革をすべき。経済の好循環をつくるのが経済再生の次の段階に入る。
これに対する反論、補足として西沢氏は、年金は確かに株で運用してるが、株が下がればまた損をする。地域に金が回らない。個人、家庭に回らない。これが日本経済を押し下げてる大きな原因。中小企業、農家が潤ってこそ地域経済が活性化する。農業、中小企業の問題について、農業の所得保障、価格補償を行い、自給率向上を目指す。中小企業支援を今の2千億から一兆円に増やす。
同じく金子氏は、農業分野について、確かに米価が下がり、驚くほど落ちた。収入はセーフティーネット、補てん制度を考えている。派遣、非正規を感情的、観念的に一律に批判する前に、正社員以外を選ぶ人もあり、選択を認めるべき。多様な働き方で多くの人の就労機会を確保する。正規で働けないのを過剰的に批判するのはどうか。安定性の確保を図るのが政治に課せられているとした。
地方創生について。金子氏は、ふるさと創生からずっと言われてるが抜本的な成果がない。群馬県川場村の道の駅に行った。年間100万人以上の観光客がある。2時間、滞在できることをコンセプトにした取り組みをやっている。先進的な地域の取り組みの極意を吸収しながら、地域に合った形で波及していく。次は人口減少対策、東京一極集中の是正。東京に出てふるさとに帰らない人が7割。地方に安定して働く場がなく、地方に帰れない。東京等の会社の本社機能を地方に移す。インセンティブとして税制面で優遇する。官公庁もできるだけ地方に置き、高等教育も地方に移す取り組みをする。
西沢氏は、アベノミクスは地方創生どころから地方切り捨てと考える。円安誘導で仕入れ価格が高騰。中小企業を苦しめている。四区、新潟も同様。地域に根ざした産業、振興が不可欠。農業もそのひとつ。地場産業がある。加茂の桐たんすや三条の自動車部品製造など町工場が支えている。しっかり地場産業を応援するのが大事。それでこそ地域経済は活性化する。人口減少の大きな要因は雇用。やはり正社員が当たり前の社会をつくる。大幅な最低賃金の引き上げも必要。社会保障の充実が地域創生につながる。
これらの反論、補足について金子氏は、小規模企業振興基本法案を通したとした。町工場を応援し、スポットライトを当てようと。地場産業はそれぞれの地域があるが、三条はものづくりのまちだが、職人の社会的地位、所得がまだまだ評価されていない。ドイツのマイスター制度は、称号を与えるだけでなく、マイスターをもっていないと開業できない。11歳から教育と職業訓練を同時に進めるデュアルシステムがある。職人になる道が学校教育の段階を築かれている。それだけの社会的評価と所得が安定している。人の支援を力を入れていかねばならない。
同じく西沢氏は、行政サービスの集約化が地方創生に必要。合併で身近な行政になっていない。どこでも子育てできる医療、介護が受けられるさまざまな行政サービスが身近で受けられる、充実が大切。働いている人たちの環境をしっかりつくるのが大事で、雇用は中小企業、農業、林業、ものづくりなどを支えるのが非常に大事。
次は選択項目。外項安全保障かエネルギー政策かどちらかを選択して話した。西沢氏はエネルギー政策について話した。九州電力川内原発をはじめ、すべての原発の再稼働に反対したい。原発の輸出はただちに中止したい。東日本大震災以降、節電の努力で電力は足りてる。原発ゼロは可能。今すぐ、原発ゼロに踏み出していくのが大事。地域経済を考えると再生可能エネルギーの開発に国をあげて取り組むことが必要。ドイツは再生可能エネルギーの割合は、2000年の6%が2014年上半期は28.5%に拡大した。さまざまな地域を生かした発電ができる。ものづくりの三条は車の部品、風力発電に生かせることが多くある。新しい産業として再生可能エネルギーに取り組むべき。
金子氏もエネルギー政策について。国会議員になってから自民党の青年局のメンバーで福島をはじめ被災地を何度も訪れた。原発推進を今、言う人はいない。その反省をしっかりしなければならない。しかし現実的、確実的なエネルギー供給を考えるのも政治の使命。原発ゼロと言ってそれは本当に可能なのか。原発は安全基準を満たさなければ再稼働してはいけない。安全が最優先は間違いない。化石燃料の依存度が非常に高くなってる。CO2は増え続けてる。大きな国民の負担が増えてる。本当に生活できるのか。原発と化石燃料のベストミックスをもっと議論する。太陽光発電は進め過ぎた。再生可能エネルギーを研究する段階。そのスピードをもっと速めなければならない。
最後に補足説明とこの地域に伝えたいメッセージについて。金子氏は、女性政策について。先の臨時国会で女性の職業生活における活躍の推進に関する法案を通し切れなかったが、総理は先頭に立って女性の輝く社会の実現を目指した。社会進出だけが女性が輝くことではないが、働きたくても働けない女性がないように環境を整える、子育て後に復職に壁があれば撤去する。女性の多様な生き方が認められる社会にしたい。女性はホルモンバラスの分泌量の違いで、大きく健康を損ねることがある。ストレスで女性のうつ病が大きく増えている。女性の健康医学に政治が法律をつくる、女性の包括支援に関する法案を考えていたところ。女性が健康で社会で能力、個性を発揮できる社会を実現する。地域少子化対策強化交付金が非常に使い勝手がいいので、さらに拡充したい。放課後自由クラブが非常にニーズがあるが、地域によるサービス供給の格差をなくし、環境整備したい。
西沢氏も女性の問題について。アベノミクスで女性の活躍と言われるが、格差が広がり、貧困が広がった。女性差別の撤廃、格差是正の言葉はない。働く女性の6割がパートや派遣。賃金は男性の半分。出産で6割が仕事をやめる。仕事をめぐる女性の差別をなくしていく必要がある。女性の賃金格差をなくす必要がある。女性管理職は1割、これも引き上げる必要がある。深刻な保育所の待機児童問題を解決する必要がある。消費税の問題について。トヨタは2008年から法人税を1円も負担していないことを記者会見で認めた。大企業には優遇税制がある。経済力に応じて税を負担してもらうのが先進国では当たり前の考え方。しっかり応分の負担を求める。これらを見直せば2.4兆円の新しい財源が生まれる。富裕層も所得が1億円を超えると税負担が軽くなる。所得税の最高税率が40%だが、60%、70%に戻すことが大切。好循環をつくって税制を再建、財政を再建していく。それで社会保障も充実をさせる提案をしている。政治を変える、皆さんが意思を示すことができる大きなチャンスがやって来たので、日本共産党としても頑張っていきたい。