燕三条地場産業振興センター理事長の国定勇人三条市長は仕事始めの5日、午後1時半から同センターで職員30人余りを前に年頭のあいさつを行った。同センターでは三条、燕の両市長が2年任期で交互に理事長、副理事長を務めており、国定市長の理事長の任期は3月末まで。退任のときは職員に対するあいさつはないので、退任のあいさつのつもりで職員に感謝し、遺言のような思いでさらなる革新に期待した。
国定市長は「皆さんにそろそろお別れの言葉を言わなければならないころ」とし、2年間を振り返った。燕三条に徹底的にこだわり、燕三条の玄関口として同センターを確立するさまざまな取り組みを展開してきた。燕三条地域の最大の特徴である「ものづくり」を通して内外に燕三条地域の姿を伝えるのが同センターの使命で、「燕三条 工場の祭典」と心を込めてつくりあげた「燕三条ものづくりメッセ」の二大看板を頭に「少なくとも外に見せていく華々しい光の部分についてはこの2年間でなんとか緒をつかむことができた」とした。
鈴木燕市長へのバトンタッチに向けて、来年度内には道の駅に登録されるための手当をし、それに付随する免税店構想を打ち上げた。“光の面”は、意欲的に取り組み、その分、職員に負担をかけたが、「皆さんから本当に頑張っていただいたおかげで、それ相応の評価を受けるだけの結果を導き出すことができた」と職員とともに自負し、職員に感謝した。
もうひとつの側面は、むしろ鈴木市長が得意とすると思うとし、鈴木市長の手腕に期待した。自身が取り組んだのは華々しい光の面だが、同センターが自ら光となるのは、本来は本末転倒。自らは影となり、支える側になる役回りをすべきで、一歩一歩の地道な取り組みが本来のセンターの持ち味。「どうかこの1年、光の部分をしっかり確立するのとあわせて本来の任務の支える側としてのセンターの役割にあらためて思いをめぐらせ、実践してほしい」と求めた。
東京・荻窪の中華そば「春木屋」が伝統の味を徐々に人々の好みにあわせて変えながら、昔と変わらない懐かしい味と言われている実例を紹介。同センターにもそれをあてはめ、同じ形で支えるのでは飽きられ、華々しい取り組みではないからこそ、市内の企業に飽きられないていどに徐々に持ち味を変えていきながら支援、模索していく「難しいプロセスを図っていかなければならないのがことしのテーマ」とした。
光の方は昨年、一昨年やったことをもう1回、気持ちをリフレッシュしてやれるが、影の部分は昨年と同じでないということでは革新性が求められ、実現するには「惰性からの脱却を図っていなければならない」。それは光が当たる取り組みと同じかそれ以上の変革のエネルギーが必要で、「職員一丸となって地味なチャンレジに歩を進めていってほしいし、光と影とがバランス良く保つことができれば、このセンターは本当の意味での地域内での欠かすことのでできない存在になっていく」と期待し、「これをわたしの遺言だと思って聞いてほしい」と念を押した。
「燕三条 工場の祭典」、「燕三条ものづくりメッセ」、燕三条ブランドなどの取り組みは「わたし自身が創業者だと思っているので、創業者責任を果たすべく、しっかりものをいうときはものを言っていく。そんな副理事長であり続けていきたいと思っている」。最後に職員には健康管理が大切と言い、「わたしのように飲んだくれるような人生を過ごさないように、厳にお願い申し上げる」と笑わせて締めくくった。