三条市上須頃、共和工業(株)=松井恒雄代表取締役=は15日、国道289号八十里越沿道の施設整備、ものづくり系高等教育期間の設置、看護系高等教育機関設置など三条市の3つの事業に役立ててほしいと、5億円を三条市に寄付した。
午後1時半に松井社長(75)が三条市役所を訪れ、5億円の目録を読み上げて国定市長に手渡した。使い道は三条市と相談し、市がこれから取り組む国道289号八十里越沿道の施設整備事業、ものづくり系高等教育機関の設置等事業、看護系高等教育機関の設置等事業の3つに決めた。
共和工業は、松井社長が創業者。昭和38年8月の会社創立から50年以上にわたり、合成樹脂製品の普及と素材の進歩とともに各種金型の設計、製造、販売を通して戦後の高度成長と国民生活の向上の一翼を担ってきた。
2011年6月に直江町工場を本社とする新たな共和工業を設立。金型などを製造する事業継承を行い、上須頃の同社と会社を分離。新たな共和工業は2014年三井化学に経営権を譲渡し、上須頃の同社では、遊休地の管理や太陽光発電の運営などを行っている。
松井社長は寄付の経緯について、「この(50年余りの)間、取引先や協力事業所、多くの社員の協力のほか、行政や地域にも世話になりながら事業を継続してきたことに心より感謝している」。さらに、以前は65歳と計画していたという実質的な社長職からの引退に「社長定年がこのたび実現した」、「今までの支援に感謝の一端として、これからの三条市のまちづくりに少しでも役立てていただくため」とした。
国定市長との懇談で、「八十里越」の開通について話し、関東から奥会津への道が良くなっており、流通の面などからも「予定より交通量が増えるのでは」。さらにカーブや高度差も少なく災害時にも役立つと期待した。また、中学や高校のころから友人の影響で奥会津や八十里越に親しみがあり、イワナ釣りやサワガニなどの思い出も話し、「私がハンドルを握れるうちに」と早期の開通を願った。
三条市では、今回の寄付については新たに基金をつくり、適正に管理していくとしている。