25日の弥彦村長選で新人の小林豊彦氏(69)に思わぬ大差で敗れた現職の大谷良孝氏(58)の陣営は予想もしなかった結果に言葉もなかった。
大谷氏の選挙事務所には支持者ら100人余りが訪れた。小林氏の陣営が当確と言っている情報が入ると支持者からは「怪情報だ」との声が聞こえ、開票所から残票50票足らずで逆転不可能な得票であるとわかっても数分間は固まったように沈黙して時間が流れ、大谷氏は目をうるませ、腕を組んで何度も深いため息をついた。
午後8時過ぎに大谷氏が敗戦の弁。「結果的には、この数字を見ると惨敗と申しますか、接戦にもならなかった状況」と完敗を認め、「選挙期間中、政策を訴え、それなりに手応えも感じたが、わたしも今、信じられない状況」と頭が真っ白になっているような心情を率直に話した。
「結果は結果として受け止めなければならない。やはりわたしの不徳のいたすところと言うほかない。本当に大勢の皆さんから支援をしていだき、その期待を裏切ることになってしまって本当に申し訳ない」とわび、「これからの弥彦村がさらなる発展を遂げられるように今はただ、ただ、祈るのみ。皆さん方、きょうまで支えていただいた12年間、心から感謝申し上げる」と頭を下げた。
鈴木孝後援会長も「残念というほか言葉がない」とぼうぜん。12年間の実績を踏まえてこれからという四期目の構想を具体的に村民に説明してきたつもりだが、「残念ながら相手候補とは政策的な競り合いができない、一方はただ作文的だったので圧勝できるものと全力を尽くした」。
さらに「村民が洗脳されてしまうようなことにつながることがあったが、そういうことも弁解にならない。事実は事実。これからさらに大谷吉孝の精進に期待し、この次のときには必ず当選できるように今のうちから皆さんのご協力をお願いしたい」と早くも次の村長選での再出馬もうながすようなあいさつだった。
大谷氏は投票が締め切られた午後6時ころにはすでに選挙事務所に入り、支持者らと談笑してリラックスしたようすだった。関係者も当選後の段取りや打ち合わせを進め、当選したら塗るだるまの目には、塗りやすいように先に縁取りも誰もが勝利を確信し、楽勝ムード。悪い予感のかけらもなかっただけに落選のショックも大きかった。