不登校から抜け出すきっかけになればと2月21日午後1時半から三条市神明町、シェアスペース&ライブラリー「燕三条トライク」で精神的な疾患に悩まされた人から直接、話を聞く「seizei cafe(せいぜいカフェ)不登校について考えるお茶会」が開かれる。
「part 1 体験談を聞いてみよう。」として、3人が体験発表を行う。一人目は、このイベントの主催者である不登校支援の集まり「seizei」の代表で三条市出身の桜井美穂さん。幼少時から自家中毒と心身症に悩まされ、中学、高校時代に不登校気味になり、上京して社会に出ると再び症状が悪化。08年に帰郷してから2年後に統合失調症を発症して入院。その一方で発達障害児対応、不登校支援の教育相談室に勤務し、子どもめぐる問題を学ぼうと教員免許、ピアヘルパー、初等教育カウンセラーを取得している。
二人目は新潟市出身の新井佐和子さん。中学2年のときに人間関係のつまずきから不登校に。高校でも孤立し、卒業後は県外の大学に進学して少しずつ人とのかかわりを築き、帰郷してからフリーターや専門学校生となり、今は障害者施設に勤務する。
三人目は、会場となる「燕三条トライク」を主宰する小山雅由さん。埼玉県出身で高校時代にいじめに遭い、大学在学中に統合失調症の高校生と向き合った。大学卒業後に起業し、失敗、挫折を経験している。ひとり30分ずつ話して参加者とも自由に話し合い、午後5時に終わる。
主催者の「seizei」は、精神疾患の経験のある三条市と長岡市の5人をメンバーに昨年、発足した。三条市の渡辺剛紀さん(33)もそのひとり。09年にパニック障害になった。リハビリへ通うなどして3年後には県外へ出掛けることもできるまで回復した。今は1年前に始めた自営業のハウスクリーニングで働く。
「パニック障害になっても外からは見えないので、世間や身内の冷たさに地獄を味わった」。その経験を生かして同じような悩みを抱える人を支援できないか、また支援することが自身のパニック障害の克服につながるのではないかと、「seizei」に加わった。「医師でもカウンセラーでもなく、悩んでいる人と同じ目線で接してあげたい」と。
治療に使われる向精神薬の危険性も訴える。向精神薬は依存性が高く、肉体への負荷も大きい。渡辺さんは治療を続けるなかで「向精神薬が次々と開発されるなかで精神疾患が増えている事実に気付いた」。向精神薬を否定はしないが、行動療法や自然療法が大切なことを身をもって学んだ。
同時に大切なのが取り巻く環境。「精神疾患に対する周囲の意識が問題。偏見や負のイメージも強く、ゆっくりでもそうしたイメージを変えていきたい」。一方で渡辺さんは、「精神疾患をわずらったことに感謝さえすることがある。それによって得たものは計り知れない」と疾患をポジティブにもとらえる。
「不登校やひきこもりは、外に出てなんぼ。きっかけさえあれば抜け出せる人は多いが、なかなかそのチャンスがない。今回のイベントがそのきっかけになればいい」と願う。不登校やひきこもりがちな人はもちろん、身近に精神疾患をわずらう人がいる人、支援をしていたり、これから支援したいと考えている人など、イベント中の出入りも自由なので、気軽な参加を呼びかけている。定員30人、参加費はフリードリンク付きで500円。問い合わせは代表の桜井さん(電話:090-4174-8189)へ。