未来の生活を考える会・三条は1日、三条東公民館で「いのちの未来の語りあい第3弾 コンサート&おはなし」を開き、市民60人余りが参加して福島から新潟に自主避難した元小学校教諭の東日本大震災発生からの話と、ネイティブアメリカンフルート奏者マーク・アキクサさんの演奏を聴いた。
2部構成で第1部は講演。東日本大震災の発生後、福島県いわき市から新潟県阿賀野市へ母子で自主避難後、村上市に転居した元小学校教諭で居学処「水野谷塾」主宰水野谷理恵さん(42)を講師に「福島から未来を見つめて」をテーマに約1時間、聴いた。
水野谷さんは、「水野谷さん大変だったのね」と講演を聴くのではなく、「もしあの時、自分が福島にいたらどうしていただろうか」、「これからここ新潟で同じようなことが起きたら自分はどういう決断をして、家族をどう導くだろうか」と考えながら聴いてほしいと始めた。
震災当時、水野谷さんは福島の小学校で2年生の担任。教務室でその時を迎えてから、家族で新潟に移住するまでの周囲の状況やその時々で感じたこと、行動したことなどを話した。
震災直後の避難所の様子や状態、原子力発電所の事故、情報のないなかで自信や家族で行なってきた判断や対応、家族が離れ離れに暮らした自主避難、避難先での子どもたちの様子、放射能の影響など、たくさんの判断や厳しい決断に迫られた。
その一方で、東日本大震災により「社会の真髄に自分の目を向けるようになったこと」、「心ある方との出会い」は良かったと締めくくった。
第2部はマーク・アキクサさんの「ネイティブアメリカンの温かい魂の癒しのコンサート」。マークさんの演奏するネイティブアメリカンフルートは、北米先住民に伝わる木製の縦笛で、別名インディアンフルート。
コンサートでは、「バード」と呼ばれる吹口と指孔の間にある鳥の形をした調節ブロックのついた数種類の笛を、曲によって変えて演奏。柔らかだが、深く広がりのある音色で会場は包まれた。
マークさんは、北アリゾナ大学時代に北米先住民ホピ族に「音楽は本来は祈りなんだよ。祈りというのは音楽、歌によって精霊の世界に届けられるんだよ」と教わったことを話し、それまで音楽は娯楽や芸術作品と思って聴いていたので、一種のカルチャーショックを受け、そこから音楽に対する価値観が変わっていったなどのエピソードも話した。
黒一色の衣装に、ネイティブアメリカンのターコイズとシルバーや羽のアクセサリーを身につけ、黒髪を三つ編みにしたマークさん。ミステリアスな雰囲気だが、会話は気さくで楽しく、リラックスした雰囲気のなかで、先住民族の伝統的な曲など、スケールの大きな自然を連想させ、体の中にしみこむような演奏に聴き入った。