中小企業も就職先の選択肢に加えてもらおうと大妻女子大学OMA(大妻マネジメントアカデミー)=東京都千代田区=は、12、13の1泊2日で「ビジネスキャンプ in 燕三条」を行い、学生10人が参加して燕三条地域の企業を視察した。
大妻女子の成り立ちは家政学部が中心で、そこから時代の要求にあわせて文学部、社会情報学部などを増やしてきたが、現在もビジネス関係の科がない。ビジネスに関する情報、知識がないのは就職にも不利になることから、2011年にOMAという正課外の講座を開設した。
今回のビジネスキャンプを行ったのは、中小機構関東本部・中小企業大学校三条校との連携講座の一環。昨年5月から11月までに6回の講座を行い、中小企業の社長の講演を聞くなどした。その特別回としてビジネスキャンプを企画したもので、講座を受講した300人近い学生のうち希望した2年生3人、3年生7人の10人が自費で参加した。
12日は燕三条地場産業振興センターから三条市でニッパー型爪切りの諏訪田製作所とアウトドア用品のスノーピーク、13日は三条市でキッチン雑貨のオークス、燕市で産業史料館と鎚起銅器の玉川堂を視察した。
オークスでは佐藤俊之代表取締役の話を聞いたあと、商品開発のワークショップを行った。佐藤代表取締役は、「テレビに出る頻度はウチの会社がこの地域で最も多い」ことを誇り、女性目線での商品開発、出版メディアとのコラボレーション、価格競争に巻き込まれない高くて選んでもらえる商品、ニッチな商品でニッチな市場の開拓、会社のブランド化といった取り組みについて話した。
社内のマネジメントについては、掃除はすべての基本であるという考えから自身を含めて全社員で毎朝25分間もかけて会社の掃除をしていることや社員が互いに感謝の言葉を紙に書いてポストに入れるサンクスカード、倉庫で社員運動会、有給休暇20日間の消化の義務づけ、全額会社負担での社員旅行など、家族的な経営方針を示した。
「計量みそマドラー」や「ゆびさきトング」といった大ヒット商品は女性の開発チームが生み出した。チームリーダーがその開発秘話などを話すとともに、商品開発のワークショップを行った。学生は3つのグループに分かれて調理で困っていることを書き出し、それを解消するアイデアを考え、最後はプレゼンテーションまで行った。
キッチン雑貨は身近なこともあり、学生は本気モード。まるで本当の商品開発の現場のように白熱して議論し、アイデアをまとめた結果、洗いやすい茶こしや蛇腹型で形状を変えられるまな板など、6つものアイデアが形になった。
人間関係学部の3年生は、ワークショップで体験して「デザインも考えると一から商品を考えるのは難しいと思った。もっと頭を柔軟にしなければ」。それまで見学したなかでは「諏訪田製作所のふつうの町工場と思っていたら、すごくきれいでイメージカラーの黒にも意味があることがわかった」と言い、「どちらかと言えば大企業より中小企業で働いてみたい」とますますその思いを強くしていた。
同行した同大学キャリア教育センターの寺石ユリウス雅英教授は「中小企業なら大妻というブランディング、セグメンテーションができればいいと思う」とし、「来年度は大妻が核になるのは変わらないが、いろんな女子大にも働きかけて取り組んでみたい」と話した。