燕市に研究施設を構える一般社団法人県央研究所(高野貞子理事長・三条市吉田)と関連会社の株式会社県央研究所(茨木和雄代表取締役・同所)は冬に流行するノロウイルスの感染や予防を楽しく学んでもらおうと動画を作成して18日、投稿動画サイト「YouTube」で公開した。
「【決定版!】究極のノロウイルス対策!!」のタイトルの約5分間の動画。東京都出身で児童青少年向けの中央の劇団の主役として全国で公演した経験のある岡田美香さん(33)=三条市=演じるリポーターが、県央研究所に潜入取材するという形で進行する。
職員が演じるノロウイルスをまき散らす“ノロ大王”と遭遇し、何も知らずにインタビュー。さらに一般社団法人県央研究所の茨木理事にインタビューしてノロウイルスの予防法を聞く。YouTubeに動画をアップして人気を集める“ユーチューバー”のようなスタイルで、子どもからお年寄りまで誰でも楽しく見ることができる。
同研究所ではノロウイルスの分析、検査業務を行っている。衛生調査の依頼を受けた旅館から、ノロウイルスの感染者が吐いた物をどう処理したらいいか、実技指導してほしいと依頼があり、昨年秋に実技を含む講習を行った。
ノロウイルスに感染すると非細菌性急性胃腸炎になり、下痢や嘔吐(おうと)を引き起こす。とくに適切な処理をしないと、吐いた物から感染が広がることが多く、予防と同時に感染を食い止める対応が重要。ただ、ノロウイルスに関する情報は専門的なものが多く、取っつきにくいことから、実際に受講者も参加して吐しゃ物を処理する実技は好評だった。
そこで、さらにわかりやすいものをと寸劇を思いつき、昨年12月に同研究所の取引業者などを対象に開いた異業種交流会で、ノロウイルスについて学ぶ寸劇を披露した。お父さんが外からノロウイルスを持ち込み、お父さんが吐いた物をお母さんの処理が適切でなかったために家族みんなが感染してしまうというストーリー。ノロ大王と手洗いの神さまも登場する。
これも参加者に大好評で、寸劇を出張公演してほしいという依頼があり、ことしに入って福祉施設と食品工場の2カ所に出張公演した。一方で県外からも寸劇の一部を動画で見せてほしいという声もあり、それならばどこからでも見られるようにとYouTubeを使った動画による発信を企画した。
寸劇の評判の良さについて茨木理事は「見る、聞く、参加するで、体で覚えるところが受けているのでは」と言い、「ふつうとは違う角度で楽しみながらノロウイルスの防御を学んでほしい」。
燕三条地域では、動画で会社案内を作成しているところは増えているが、今回のように情報の発信、提供といった意味の利用は珍しい。「大きく言えば、地域の伝統、文化も発信していきたい。内部的にも活性化につながれば」と茨木理事は、さまざまな効果に期待。「動画による情報発信を定番化していきたい」と話しており、次回作が楽しみだ。