三条総合福祉センター内にある避難者交流ルーム「ひばり」は7日、同センターで開かれた東日本大震災追悼式典に続き、支えてくれた人たちへの感謝とそれぞれの道を歩み続ける決意を込めての交流事業を行った。
交流事業では、福島から避難している人たちの有志で2013年に寄付をした玄関前の三条市の木のゴヨウマツの前に立てた石柱の寄付、三條太鼓三小相承会の追悼演奏を行った。石柱は福島県南相馬市小高区から避難している佐竹紀さんら有志が善意を出し合って建てたもので、高さ約1メートル。「市の木 五葉松」、「石柱寄贈 東日本大震災 福島県避難者有志」と刻む。
佐竹さんから国定勇人市長に目録を手渡した。国定市長は、「このゴヨウマツの成長とともに、確実に震災の被災地の復興が成し遂げられることを心からお祈りしたい」。常磐道の全線開通のうれしいニュースもあり、「心理的にも浜通りと三条とが近くなったと感じている。そうした面からも、三条市は全力で応援をしていきたい」と礼を述べた。
三条市は震災発生から6日後の16日夜、同センターに市内で初めて避難所を開設し、避難者の受け入れを始めた。玄関前には三条市の木、ゴヨウマツがあった。木の脇が喫煙スペースで、避難していた人たちはそこで涙して不安な気持ちを話したり、励まし合ったりした。その年の8月末に避難所が閉鎖されると、9月半ばごろから枯れ始め、10月末には完全に枯れてしまった。
「あたかも避難者たちの心労を身代わりするかのようにして枯れた」と考えた有志が、新しいマツを植えてほしいと募金や遊休品販売などで資金を集めて三条市に寄付し、2013年5月に同じ場所に植栽。あわせて「第二のふるさと」、「東日本大震災福島県避難者一同」と記した石碑も建立している。
目録贈呈に続いて、避難者を励まし続ける三條太鼓三小相承会が和太鼓の追悼演奏。『風揚げ太鼓』、『五十嵐太鼓』、『躍進太鼓』、『金物太鼓』など「道」をテーマにした曲構成で約20分間ほとんど切れ目のない演奏を行った。スターマインの花火が打ちあがるように続く迫力ある演奏に、観客は大きな拍手を送っていた。
南相馬市原町区に戻った両親と離れ、2人の子どもと三条市で避難生活をしている千葉広美さん(45)も、式典から参加し、太鼓演奏に拍手を送った。「ふだんは遠ざかっているけれど、思い出します」、「この4年はあっという間」と震災からの時間を振り返った。2人の子どもたちは三条での生活を楽しんでいる子、じいちゃんばあちゃんがいる福島に帰りたいという子とそれぞれだと言い、今後については「子どもの成長で考えていかないと」と話していた。