新潟市西蒲区・岩室温泉の旅館に武蔵野美術大学(東京都小平市)の卒業制作作品を展示して7日から15日まで開かれているアートサイト岩室温泉2015の一環で9日、同温泉の「めんめん亭わたや」を会場に恒例の「TERAKOYA一日ムサビ生」が行われ 、地元で旅館や店舗で働く人を中心に16人が参加して、武蔵美の楫義明(かじ・よしあき)教授から「元気な店舗になる方法」のテーマで講義を受けた。
「TERAKOYA一日ムサビ生」は、アートサイト岩室温泉で恒例のイベントのひとつ。ことしで4回目になり、楫教授を講師に店舗づくりや店舗経営を中心について文字通り“一日ムサビ生”となって講義を受けるという趣向だ。
元々は舞台芸術をが専門で、それから空間そのものをつくる仕事、商品が良く見える環境をつくる、その先にあったのが美術館だったと、自身の経歴を紹介したあと、「物が売れる時代にどうやったら売れる可能性が高くなるか」という観点から、一対一の関係性がつくれるネットの特性で、オンラインとリアルな店舗の両方をの行き来が頻繁に生じるための手法としてSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)があるとした。
商品の売り方にはストーリー性が重要で、「共感する」「応援する」する気持ちが購買に結びつき、消費に対する考え方が変化し、リスク回避の消費行動として、機能的リスク、心理的リスク、社会的リスクなどと分類して示した。
さらに「キーワードは安心させることの重要性」。計画的に買い物していると思っているが「スーパーにおける買い物の8割以上は売り場で決まっている」と、買い物の本質は衝動買いで、「消費は増やせないが計画外の買い物なら増やせる」、ほかにもPOP、クロスコーディネート、ビジターをカスタマーに変えることなど、売り上げを伸ばすためのヒントを紹介した。
毎回、参加している地元の人もいれば、三条市から参加した金物卸商で働く人も。受講生は畳に座ってまさに寺子屋スタイルで、マツが描かれた金屏風が飾られた和の空間のなかで熱心に聴講し、1時間の講義もあっと言う間だった。