薄く柔らかい皮、口のなかに広がるほんのりした甘みが春を感じさせる「もとまち春キュウリ」の出荷が始まった。燕市吉田本町のビニールハウスで栽培され、食卓に春を届けている。
16軒の農家でつくる本町蔬菜(そさい)出荷組合(加藤達男組合長)のうち、キュウリを栽培するのは9軒。作付面積は合わせて約1万8千平方メートルになり、最盛期には1日2万5千本を出荷し、旧白根市に次ぐ県内2番目のキュウリの産地だ。
春、夏、秋と年3回に分け、味にこだわって種も少ない「モンドール」という品種を栽培する。夏はすぐにキュウリが育つが、日差しが強いと皮がかたくなる。春は日差しが弱いので皮は薄くて柔らかい。反面、温度管理は難しい。ゆっくり育つことで甘みも増すという。6日に出荷が始まり、10日からまとまった量を出荷できるようになった。
組合が昭和48年にできてから40年余り。40周年を区切りに新潟市のデザイン事務所「ヒッコリースリートラベラーズ」に委託して「もとまち野菜」のロゴマークを作成し、昨年から出荷用の段ボールケースにも印刷。春キュウリはもちろん、もとまち野菜のブランド化も進めている。
若手リーダーの池田学哲さん(38)は、約1,300平方メートルのハウスでキュウリを栽培する。味には自信がある。サラダや浅漬けにして味わう手もあるが、「一本もので春のキュウリをじっくり味わってほしい」と話している。