小林弥彦村長が初議会で所信表明、最低8年の任期で計画を策定、ホテル跡地はおもてなし広場に、購入物品を村内全業者が同レベルになる購入システムを導入 (2015.3.12)

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36年ぶりの選挙戦となった弥彦村長選で当選した小林豊彦弥彦村長は、12日開会した初めてののぞむ3月定例会の冒頭で施政方針演説も含めた所信表明を行った。支持者ら約30人が傍聴に訪れ、25の傍聴席では足りず、丸イスを追加して傍聴した。会期は24日まで13日間。

所信表明を行う小林弥彦村長
所信表明を行う小林弥彦村長

小林村長は、祖父の小林豊三郎氏が第8代、10代、父の小林静夫氏が第16代、17代の弥彦村長にを務めており、「三代にわたり村政を担う光栄を頂きましたことは感無量」とし、「歴代弥彦村長が築かれた栄えある弥彦村の歴史を汚すことなく職責を全うし、次の世代に引き継ぐべく全力を傾ける覚悟」とした。

日本経済新聞社で海外勤務も長く経験しており、実例をあげて国際情勢を「いつ、どこで何が起こっても不思議でない、流動化した極めて不安定な時代に突入した」と評した。そこから日本のひっ迫する国家予算、財政力劣化、人口減の加速がマイナスの相乗効果となって「日本国全体をいよいよ弱体化の方向へ推し進めていることは間違いのないところ」で、弥彦村も世界情勢の変化、日本政府の動向、政策の行方を「いち早くキャッチする鋭敏なアンテナの一日も早い構築が求めらる」とした。

大規模な異常気象発生も考慮すると「弥彦村をいかなる事態が発生しても最後まで自らの力で生き残れる村に作り上げる事こそが、私の任期中に忘れてはならない使命」。そのためのガラス張りの村政の実現、豊かで明るい活気あふれる弥彦村建設には「最低8年の任期が必要と痛感」し、「最低8年を任期とした計画を策定し、再選を果たすべく全力を尽くす」とすでに4年後の村長選まで視野に入れて取り組む考えを示した。

「政策実行の優先順位を少し変更」し、まず「弥彦村役場の組織再構築、職員の意識改革」から取り組む。村長に当選、就任して「初めて弥彦村役場の実態、実力を理解し、その病巣を突き止めた」。それは一方的な職員の削減、特別職などにおる職員人事とし、具体的に説明した。

12日開会した3月定例会
12日開会した3月定例会

次に重点施策に対する基本的な考えを述べた。高齢者福祉向上を目指す地域包括ケアシステム構築は待ったなしの課題で、子育て支援の充実強化も不可欠で、具体的には子育て支援基金を新設する。

弥彦観光の再構築も差し迫った課題で、とくにことしは弥彦神杜ご遷座100年で、弥彦神杜と村が一体となってそのおもてなしに全力をあげる。弥彦グランドホテル跡地はおもてなし広場として活用する。観光振興では、北陸新幹線開業に伴う新潟県への観光客落ち込みに県内のほかの観光地と協力して減少を食い止める。

財政力強化は、村おこしの切り札と確信する木質バイオマス発電所建設。国からの支援策導入に向けた検討が必要なため、今年度は調査段階にとどめる。

予算執行の大原則は公正、公明正大。具体的には村が購入するすべての物品について、購入機会を全事業者の皆さんに公平にするというもの。平成27年度を起点年度に前後10年間トータルで、全ての村内業者の皆さんが同一商品、同一サービスについて納入額がほぼ同じレベルになるような購入システムを導入する。27年より前の10年にたくさん納入した事業者は、これから先の10年は他の事業者に譲ってもらう。

公共工事を含む村からの発注は、原則として村内に本杜を置く事業者を最優先にし、地域内経済循環を導入、実践。村の補助金は、運営費補助金に限って検討するが、福祉、子育て、教育、文化、スポーツの分野は新年度の検討対象から除外する。

さらに、特別職はもちろん全役場職員に対し盆暮れは当然として、すべての進物の受け取りを厳禁するよう課長会議で通達したことを報告。罰則規定導入も検討する。

村営競輪事業は、政府が競輪事業を見直す時まで自主開催も含めて継続していきたいが、絶対に競輪事業の赤字補てんのために一般会計から繰り入れはしないとした。

席が足りなくなった傍聴席
席が足りなくなった傍聴席

所信表明と休憩をはさんで提出議案説明を行った小林村長は、散開して議場を出ると、緊張がとけて大きな息を吐いた。充実した表情で続く全員協議会へ向かった。

弟の元高校教諭、小林豊さん(66)=新潟市西区=も傍聴に訪れた。前日、所信表明の原稿を見せてもらい、いくつかポイントがあるが、とくに5月に仮オープンする地元農産物の直売所の機能をもつおもてなし広場に期待。「兄弟というようり弥彦に生まれ育った者として少しでも住みやすい村になってもらればいい。少しでもそのお手伝いができれば」と話していた。

所信表明全文は次の通り。読みやすいようにケンオー・ドットコムで改行を加えた。

平成27年第2回弥彦村村議会 3月定例会所信表明全

平成二十七年第二回弥彦村議会定例会の招集をおねがい致しましたところ、村議会全議員のご出席を賜り本日開会できましとことを心より御礼申し上げます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

また、日程第三により本日の審議開始に先立ち、議会より私の所信表明の機会をお許しいただいたことは、誠に感謝に堪えない次第であります。

本日ここに弥彦村第31代村長といたしまして村議会議員各位、ならびに村民皆さんに、村政担当の覚悟、決意といった所信を披歴させていただくことは、私の欣快とするところであります。さらに、私事大変恐縮ではありますが、弥彦村長第8代、第10代の祖父小林豊三郎、第16代、17代の父小林静夫に続き三代にわたり村政を担う光栄を頂きましたことは感無量と申すほかありません。

歴代弥彦村長が築かれた栄えある弥彦村の歴史を汚すことなく職責を全うし、次の世代に引き継ぐべく全力を傾ける覚悟でありますことを改めてここにお誓いさせていただくものであります。

さて、21世紀に入りすでに15年。日本国内外の情勢に目をやりますと、世界は混とん、不安定の時代に突入したとの一言に尽きる状態にあると言えます。いわゆるイスラム国をめぐる戦闘は解決の道をたどるどころか、激化、各地に拡散する様相を呈しております。

ウクライナ東部をめぐるロシア派住民とウクライナ政府との戦闘も3度目の停戦協定締結より沈静化したかのように見えますが根本的な解決からはほど遠い状態にあると言えるでしょう。

1989年世界を驚愕させたベルリンの壁崩壊は、実はその10年ほど前からひそかに胎動が始まっていたといわれるように、現在すでに人目に触れない世界政治の地下深く世界を揺るがす大激動の火種が不気味に成長を続けているのかもしれません。

いずれにいたしましても、世界は米ソ冷戦時代のイデオロギーの対立から宗教対立、民族対立、領土対立といった第一次世界大戦前の対立の構造に完全に立ち戻ったとの観があります。言い換えるならば、いつ、どこで何が起こっても不思議でない、流動化した極めて不安定な時代に突入したといえます。

一方目を国内に転じますと、国債発行残高は相変わらず増加の一途をたどり2014年3月末には国債等残高は998兆円に達し、国債暴落による日本経済崩壊の危機は、火山のマグマのごとく不気味に鳴りを潜めていると言って過言ではありません。

一方で人口は減り続け国立杜会保障・人口問題研究所の推計によれば弥彦村の平成25年2月の人口8478人も、平成40年には7309人と1169人減少すると予測されています。日本国の財政力劣化と弥彦村を含めた大多数自治体の人口減の速度加速化は、マイナスの相乗効果となって日本国全体をいよいよ弱体化の方向へ推し進めていることは間違いのないところであります。

その結果、中山間地で顕在化した集落の崩壊は、平野部でも兆候を見せ始め、弥彦村でも現在、限界集落化が懸念される地区出現も心配されるところまで来ている状態であります。

さらに、集落の崩壊は都会地でも例外でなく、高度成長期に建設されたニュータウンで顕在化され始めたとの報道も見受けられるに至っております。

私は日本の緑豊かな郷土の崩壊を食い止めることは、今や一地方自治体の努力や知恵では如何ともしがたいところまで来ていると思わざるを得ません。願わくば日本国政府におかれて我が国の礎でもある緑の郷土を守るため民法家族法も含めた法制面での抜本的な改正検討を強く望むものであります。

我が弥彦村もこうした国内外の情勢と無縁の世界で生きてゆくことは不可能であることを皆様も良くご存じの通りであります。弥彦という蛸壺の中でともすると安住しようとするこの地の最近の気風と決別。激動する世界の情勢変化をしっかりと見据え、日本国政府の動向、政策の行方をいち早くキャッチする鋭敏なアンテナの一日も早い構築が求められます。

以上これまで申し述べてきたことに加え、昨今の地球温暖化の影響によるとみられる想定外の大規模な異常気象発生を考慮に加えると、私は弥彦村をいかなる事態が発生しても最後まで自らの力で生き残れる村に作り上げる事こそが、私の任期中に忘れてはならない使命であると承知いたしております。

私はこのため、選挙中に村民皆さんにお約束した政策をすべて実行しなければならないと固く決意しております。ガラス張りの村政を実現し、豊かで明るい活気あふれる弥彦村建設には最低8年の任期が必要と痛感しております。

もちろん8年の任期を頂けるか否かは、4年後の村長選挙にかかっているのは明らかなことであります。しかし、最低8年を任期とした計画を策定し、再選を果たすべく全力を尽くす所存でございます。

私は私に与えていただいた弥彦村政担当に当たって首長としての原点の責務は、村民皆さんの生命と財産を守ることにあると固く信じております。財政を強化し、子育てを支援し、高齢者福祉を充実するのも、つまるところは生命と財産の安全確保であります。私の任期中は村民の皆様の生命と財産を守ることを最優先に村政を担当いたして行くことをお約束いたします。

次に具体的な施策について申し上げます。私は政策実行の優先順位を少し変更いたしたいと思っております。

当選初年度の平成27年度にまず取り組まなければならないのは、弥彦村役場の組織再構築、職員の意識改革であります。1月25日に村長に当選、2月22日に村長に就任いたしました。この間に、初めて弥彦村役場の実態、実力を理解し、その病巣を突き止めたと確信しております。

私は平成の大合併時に我が弥彦村が独立の道を選択したのは、村民の皆さん一人一人の顔の見えるきめ細かな行政サービスを維持してゆく、ということが唯一最大の理由であったと理解しております。ところが、現実の役場は真逆の方向に走ってきたとしか思えない、姿になっております。それは役場に来られた村民のほとんどの方が実感しておられることでもあります。

ではなぜそうなったのか。上から一方的に職員の削減をきめ、満足な説明もない。職員人事はすべて特別職かごく少数で決定し、一方的に押し付けるだけ。その結果どうなったのでしょうか。

弥彦村の職員定数条例では現在、職員定数を95人と定めております。現実は、2月1日現在総員70人、うち役場一般行政職で役場庁舎、教育委員会、議会事務局で働く職員数は50人となっております。

過去最大の人員は平成に入ってから124人だったと聞いております。ピーク時の人員が半減すれば、当然財政負担は減り、外部からは職員を甘やかさず執行部は良くやっていると称賛されることになります。

しかし、職員数がピークだった当時は誤解を恐れずに申し上げますと、当時は国、県から降りてきた業務をこなすのが中心だった時代と言えます。現在は違います。

平成の大合併時、政府は自治体の財政力強化のため強力な財政支援をする一方、従来政府が行っていた高齢者福祉などの権限を大幅に地方自治体に移譲してきました。そのことは同時に、自治体に対し権限に付随してくる難解な法律の運用、膨大な実施作業も末端自治体に押し付けてくることでもありました。はたして弥彦村の今の職員規模、能力は、それをこなしてゆけるのかどうか私は大いに疑わしいと感じるものであります。

私が村長就任前に懸念、心配した平成27年度から始まる地域包括ケアシステムの弥彦村の取り組みは、ほとんどなされていない事が分かりました。その理由も理解致しました。これが弥彦村役場の姿なのです。

役場の職員のやる気をそいでいる今一つの大きな要因は、職員の正当な人事評価が全くなされてこなかった事であります。選挙当選後、行政の実態を説明に来てくれた総務課長に、この4月の職員の人事異動は総務課長で作成してほしい、何故なら私は職員の皆さんをほとんど知らないから、と要請しました。

課長からは耳を疑うような言葉が返ってきました。「人事にはこれまで全く触れてこなかったので分かりません」。筆頭課長で職員の人事管理も担当する職員にさえ、人事の相談をせずに特別職だけで決めるなど日本全国広と言えども、弥彦村だけであることは間違いない所であります。しかも、職員一人一人の人事評価制度、人事考課制度が存在しないと分かり、いまだに信じられない気持ちであります。

人数が一方的に減らされるのに、責任と仕事量は増え続け、しかも、自分の仕事は正当に評価されず、人事異動にも反映されない。少なくとも、評価、考課とその事の人事への反映が組織として担保されない限り、職員のやる気はなくなり、暗い雰囲気になるのは、皆さんにもご理解いただけることと思います。

行政の質が劣化することは、直接村民皆様への行政サービスが劣化することに直結いたします。根本的に役場組織の再構築、意識改革を実行しなければ行政の実施部隊から村が崩壊する危険が極めて高くなります。

このため、私は総務課長を新潟県庁から招へいし、役場立て直しの中核となってもらうことを決断いたしました。すでに、泉田新潟県知事にも直接お会いしてお願い致しました。近いうちに嬉しいご回答を頂けるものと願っております。幸い大谷前村長によって採用された優秀な若い人材もおります。先行きは明るいと確信しております。

次に重点施策に対する基本的な考えを述べさせていただきたいと思います。

福祉政策の一段の充実は当然の事であります。特に、高齢者福祉向上を目指す地域包括ケアシステム構築は待ったなしの課題と承知しております。子育て支援の充実強化も若い人達に対し弥彦村の魅力を高めるためにも不可欠と認識しております。

具体的には子育て支援基金の新設であります。是非この3月定例会で御審議、ご承諾をいただきたいとお願いする次第であります。

弥彦観光の再構築も弥彦に賑わいと、華やぎを復活し、財政力強化の強力な手段ともするため喫緊の課題であります。特に本年は弥彦神杜ご遷座100年にあたり、県内外から沢山の参拝客がお出でになると予想されます。弥彦神杜と村が一体となってそのおもてなしに全力をあげなければならないと肝に銘じております。

弥彦グランドホテル跡地は大谷村政時代、村によって購入された大変貴重な村有地であります。私はこの跡地を活用しておもてなし広場を作り、訪れていただく大勢の観光客に弥彦流のおもてなしをぜひ楽しんでいただきたいと願うところであります。議会に於かれましても特段のご配慮を賜りますようお願いする次第でございます。

さらに、観光振興につきましては、一月の北陸新幹線開業で新潟県への観光客落ち込みが懸念されております。弥彦村としましても県内ほかの観光地と協力致しまして何とか減少を食い止めたいと考えております。

財政力強化、村おこしの切り札と確信しておりますのが、弥彦山系の木々を燃料とした木質バイオマス発電所建設であります。

早急に着手したい気持ちは抑えがたいのでありますが、いかにして政府のふるさと創生政策の中に組み込むことが出来るのかどうかなど、国からの支援策導入に向けた検討を必要とすることもあり、残念ながら今年度は調査段階にとどめざるを得ないと思っております。いずれにしましても極めて困難な事業であることは覚悟せざるを得ません。

予算執行に対する基本的な考え方、方針を申し述べたいと思います。私の予算執行にあたっての大原則は公正、公明正大であります。弥彦村長としての決断、裁可はすべてこの根本原則に則って下すことを議会、ならびに村民の皆さんにお誓いするものであります。

具体的な事例をあげて申し上げたいと思います。村が購入するすべての物品について、購入機会を全事業者の皆さんに公平にするということであります。平成27年度を起点年度とし前後10年間トータルで、全ての村内業者の皆さんが同一商品、同一サービスについて納入額がほぼ同じレベルになるような購入システムを導入いたしたいと考えております。27年より前の10年に沢山納入した事業者は、これから先の10年は他の事業者に譲ってもらうということであります。

また、公共工事の発注を含め村からの発注先は、原則村内に本杜を置く事業者を最優先といたす方針であります。村のお金は村の中で使って村を元気にするという、最近注目されている「地域内経済循環」を弥彦村でも導入、実践するための施策であります。その際は短期的な損得より長期的な村への貢献を第一に考えることといたしたいと思っております。

村からの補助金につきましては、運営費補助金に限って目的、効果など等の見地から精査し検討する所存でございます。ただし、福祉、子育て、教育、文化、スポーツの分野は新年度の検討対象から除外する考えであります。

さらに、公正、公明正大な政策を貫くべく、特別職はもちろん全役場職員に対し盆暮れは当然のこととし、全ての進物の受け取りを厳禁する旨課長会議で通達いたしましたことをご報告させていただきます。罰則規定導入も検討する所存でございます。

最後になりましたが、村営競輪事業であります。私の考えは極めて明快であります。政府が競輪事業を見直すその時まで何とか自主開催も含め継続してゆきたい、の一言であります。

ただし、一つの条件があります。絶対に競輪事業の赤字補てんのため一般会計から繰り入れがなされないことであります。競輪事業強化のため、私も全力を尽くすことをお誓いいたしまして所信表明を終わらせていただきます。長時間ご清聴有り難うございました。


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