三条市はことしも「春分の日」の21日、燕三条地場産業振興センターで平成26年度三条市成人式を行った。同じ会場で15日に行われた燕市成人式と同様、抜けるような青空の好天に恵まれ、対象の新成人1,065人の78.2%に当たる833人が出席してはたちの門出を祝った。
国歌斉唱、市民憲章唱和に続いて国定勇人市長が式辞。内容の基本的な部分は例年通り。「限られた短い時間のなかで経験をしていくと言うことには限界がつきもの」で、それを補うために「ぜひとも多くの本を読んでください。そして、多くの仲間と語り合ってください」と求めた。
「私は皆さんに三条に絶対に住みなさいというふうには申し上げません」としたうえで、さまざまな経験を繰り返せば「このまちが本当に素晴らしい街なんだということをいつか必ず自分の目で自分の心で気づいてくださる」。そして三条に永住するなら「わたしたちは心から歓迎」し、「このまちが、未来への確かな実り豊かなものにしていくためのまちづくりの活動に参加をしていただければ」と期待した。
来賓祝辞で森山昭市議会議長は、「成人という人生における大きな節目」に坂本龍馬の「人間はただ生きるために生まれてくるのではなく、世のため、人のために、事を為すために生まれてくるのだ」という言葉を贈り、「今まで皆さまに注がれてきた多くの優しさ、励ましをより多くの方へ返していただけるような温かく、強いおとなになっていただきたい」と願った。
会社員岩崎直斗(なおと)さん=三条市・栄中出身=と熊谷朱莉(あかり)さん(=三条市・大島中出身=が成人の言葉を述べた。ことしの成人式のスローガン「成人式きてくれるかな?いいとも〜♪」には、新成人が旧友と再会し、一緒に祝い、幼き日を振り返ってさまざまなことを再発見して未来へ出発するという意味を込めたと説明した。
「今、成人式という人生の節目を迎えるにあたり、感謝の意を心にとどめ、日々、精進してまいりたい」、「この三条市に生まれ育ったことを誇りにもち、多くの方の期待に応えられるよう社会に貢献していくことを誓う」と述べた。
式典に続いて新成人15人を実行委員とする実行委員会(山田恵里以実行委員長)が企画したアトラクションを行った。冒頭、実行委員会ではないが、希望した大学2年鈴木大将(ひろまさ)さん=茨城県・第一中出身=が「二十歳の決意表明」を行った。
鈴木さんは中越高校野球部で3年のときに県大会で控え投手として準優勝している。決意表明では小学生から今も大学で続けている野球を軸にこれまでの自身の歩みを振り返るとともに、高校1年のときに亡くなった友人のことにふれ、「絶対にあきらめないでその友だちの分まで精いっぱい頑張る」、「きょうこの場にはいないが、一緒に成人を迎えたい」と話した。
アトラクションは全員参加のクイズ。国定市長の名前、三条市の人口、アルコールのカロリーなど二択問題を出し、入場時に渡した片面が白、片面が紫にの紙の袋で回答を示し、はずれた着席。最後まで残った20人に抽選でプレゼントを贈った。
いつも通り、服装は振り袖とスーツ、一部に羽織はかま。開会のときに新成人がロビーで話し込んでなかなか会場に入らないことが多いが、ことしはすんなりと入った。式典の間も静かで、近年になく落ち着いた成人式だった。
この6日前に行われた燕市成人式の出席は753人で、それより1割ほど多いだけだったが、燕市が閑散とした雰囲気があったのと比べると、三条市は保護者の来場も燕市よりかなり多く、華やかな印象が強かった。
三条市でもスマホの自撮り棒が活躍し、コンパクトカメラはほとんど見られず、スマホがカメラ代わり。友だちと会うたびに一緒に記念写真を撮っていた。友だちのお母さんに「あんた、お母さんにそっくりんなったね」に複雑な表情の女性もいれば、中学時代と比べてあまりの変わりように二度見して「おーっ!」と驚く人もいた。国定市長の式辞全文は次の通り。
本日は晴れて新成人になられました皆さま方、総出でこの成人式を迎えられましたことを心よりお祝い申し上げます。
そして奥の方の席に座っていらっしゃいます親御さま、あるいはご親せきの皆さま方、本日の輝かしい息子さん娘さんの門出を心からお祝いを申し上げたいと思います。
さて、新成人の皆さま、本当におめでとうございます。皆さんのこれまでの20年間の人生、法律上も社会上もまわりの皆さんに支えられて、きょう、こんにちを迎えることができたんだというふうに思いますが、まさにきょうからは独り立ちをしていかなければいけません。
元より皆さんが新成人に法律上なったからといって、皆さんの人格が成人そのものになっているかどうか、これは皆さん自身のこれまでの歩みにかかっていると思います。
そういうふうに自負できる人も、そうでない人も、まだまだ挽回ができ、大いなる可能性をこれから先、しっかりと摘み取っていくことができるのもまた、皆さま方の長所だというふうに思っています。
皆さんがこれから先、本当に世の中のために。そして自分自身の人生を豊かなものにしていくためには、やはりまだまだ皆さんは経験が必要だと思います。ひとりの人生のたった限られた短い時間のなかで経験をしていくと言うことには限界がつきものです。
でも、皆さんの創意と工夫によってこの経験というものは1人前にも2人前にも3人前にもなっていく。これは数々の皆さんの先人たちが教え導いてくださっていることです。
そのためには何が必要か。それは、皆さんが自分自身の実体験だけを繰り返していくだけではどうしても経験には限界があると言うことです。
ぜひとも多くの本を読んでください。そして、多くの仲間と語り合ってください。
今まで出会うことのできなかったような人々の話を聞くようにてしください。皆さんがそうした活動を日々、積み重ねることできれば皆さんは確かな評価の目線を自らの手に入れることができますし、それができれば皆さんは、まぎれもなく自分自身の人生を豊かなことにすることができると思います。
そして、ひいてはそれが私たちの社会、わたしたちのまち、そしてわたしたちの国に少なからず貢献していただくことになると思います。
私は皆さんに三条に絶対に住みなさいというふうには申し上げません。でも、皆さんが今ほど私が申し上げたことを少しでも聞きおいていただいて、毎日、さまざまな経験を繰り返していただければ、このまちが本当に素晴らしい街なんだということをいつか必ず自分の目で自分の心で気づいてくださると思います。
その時には、皆さま方がここに永住をされるその姿を私たちは心から歓迎をしたいと思います。そのうえでこのまちが、未来への確かな実り豊かなものにしていくためのまちづくりの活動に参加をしていただければと言うふうに思っております。
最後に皆様方の輝かしい門出を改めてお祝申し上げ敷地とさせていただきたいと思います。本日は誠におめでとうございました