三条市・一ノ木戸商店街のみんなのまちの交流拠点「みんくる」の物販のチャレンジショップに出店している陶器販売「nijimu(ニジム)」を営む村上悟さん(40)は、31日で出店を終わるのを前に写真展「手と器展」を開き、出店中に撮りためた写真を1,300枚プリントして27日からショップに展示している。
村上さんは三条市大島出身で専門学校を卒業。プロスノーボーダーを目指した時期もあった。昨年3月にそれまで7、8年間、働いた新潟市内の会社を退職。10年ほど前に石川県金沢市・金沢21世紀美術館で京都の女性作家の陶器に魅せられて以来、いつか陶器を売る店を開業したいという夢を描いた。昨年10月からの「みんくる」出店でついにその第一歩を踏み出した。店名は生活に“にじむ”ように溶け込む器をという思を込めた。
京都、大阪を中心に最近は新潟市を含む若手作家の作品を販売。カップで2,000円前後、花瓶などで1万円足らずの価格帯を中心に扱う。3月末で「みんくる」出店は終わるが、すでに5月に三条市内での開店が決定。「みんくる」がまさに起業に向けたチャンレジショップとして機能した。
「みんくる」出店の最後に人と器のかかわりを形に残そうと考えた。思いついたのが、世話になった「みんくる」のスタッフや店内の器の写真の展示。半年間の出店中に撮りためた写真のなかから200種類を選んで、L判サイズで1,300枚をプリント。チャレンジショップの長押(なげし)の上のガラス窓部分に表側と外側の両方にびっしりとすき間なく張った。
「いちばん下の段を張っただけで予想以上に大変で、やめようかと思った」と村上さんは苦笑いするが、「イメージしたよりなかなかいいいものができたと思う」と苦労のかいがあった。
器の写真はもちろん、「みんくる」スタッフは器を持つ手だけの出演。料理を載せた器やモノクロプリントした写真も。何気ない写真のなかに「みんくる」での半年間が封じ込められている。
「最初は声も出せなくて大変でした」、「値引きは言われなかったが、値段が高いと言われることが多かった。商売の厳しさを知った半年間だった」と村上さんは振り返る。「でも、予想したより人が来てくれ、皆さん優しく接してくれた」と喜び、「この経験を踏まえて開業に生かしたい」と村上さんの見詰める先は明るい。