19日に燕市分水地区で行われるつばめ桜まつりの第73回分水おいらん道中に向けて3日、燕市分水福祉会館でおいらん役に選ばれた4人の歩き方の練習が行われた。
練習は3回。3月15日に1回目を行い、この日は2回目。3回目は4月15日に行って仕上げる。練習はおいらん役をリードするほうかん役と2人1組で行う。
おいらん役は素足に高さ15センチもある3枚歯で黒塗りの高げたをはき、床に敷いたベニヤ板の上を歩く。ことしも指導者は日本舞踊の花柳流・花柳寿之柳さんだ。
まず高げたに慣れるところから。ほうかん役の肩に左手をかけ、右手は帯に置いて横に張り、足元を見ずにしっかり前を見据え、ぴんと背筋を伸ばしたりんとした姿で足を運ぶ。
いちばんの難関は外八文字と呼ばれるおいらん独特の足の運び。行列の所々で全体の進行を止めて外八文字を披露する。足先で外八文字を描くようにげたを寝かせて大きく外側にふりだしてゆっくりと体の前へ運ぶ。おいらん役の最大の見せ場だ。
さすがに簡単にはいかない。「皆さん飲み込みが早いから大丈夫。自身をもってやってください」と励ます花柳さんの指導にも熱が入る。「しっかり下駄を寝かせてください」、「右足のひざの前に左足のひざの裏がくっつくまで」、「腰を落としたまま胸を張って足を運んでください」と細部まで厳しくチェック。4人のおいらん役はみるみる紅潮し、汗で顔を光らせた。
信濃太夫役の燕市燕地区出身の近藤歩夢(こんどう あゆむ)さん(23)=神奈川県横浜市=は「ほうかんさんとの息の合わせ方がすごく大事と思った。先生に2人で1対だからと言われたのをやってみて実感した」、「体はきついが、精神的には楽しいし、おいらん役との仲間もできて頑張ろうという気持ちになれている」と表情は明るい。
分水太夫役の榊真梨(さかき まり)さん(25)=石川県加賀市=は、昨年のミス加賀友禅。和服には慣れたが、おいらん役はまったく別物で「思ったより足に負担がかかる」、「練習時間がもっとほしいくらい」と言い、「時代がタイムスリップしたような感じ」とミスに続く新しい役に期待を膨らませる。
桜太夫役の山岡(やまおか)すみれさん(22)=燕市分水地区=は、「子どものころに付き人を何回かやっていて、おとなになったらおいらんさんになりたいと思っていた」が、これまで2回の練習で「思ったよりきつかった」、「足がぷるぷるしてきた」と、近くで見ていたおいらん役の印象とは違った。「ゆっくり前を見て集中してやるのが難しい」と課題を話す。
写真撮影用の染井吉野太夫役に本田菜生(ほんだ なお)さん(26)=燕市分水地区=は「ふつうに歩くのは大丈夫と思ったけど、外は文字はすごく足にこたえて、もっと練習して自信をもって本番に臨めるようにしたい」、本番では「きれいな姿をお見せできるようにしたい」と気を引き締めた。
花柳さんは「ことしのおいらんさんはすごくいい。こんなにスムーズにうまくいくのは珍しい」とほめる。飲み込みがいい。本番を頼みにしてほしい」とアピールした。