燕市商工観光部長を3月31日で定年退職した赤坂一夫さん(60)=三条市=は、休むことなく翌1日から嘱託で燕市産業史料館館長として勤務している。
燕三条地場産業振興センターに2回で9年間の勤務を含め、旧燕市職員時代から在職中はほとんどを商工畑で力を尽くした。6年前に商工観光課長、4年前に商工観光部長に就いた。ざっくばらんで親しみやすいキャラクターに地元の産業界からの信頼は厚い。
史料館館長は、以前は任期付職員や非常勤職員だった。前年度まで4年間は正職員が館長に就いたが、今回は嘱託となった。嘱託では職員の異動名簿に掲載されず、赤坂さんが史料館に勤務していることを知らず、史料館で顔を会わせて驚く人も多い。
史料館は商工観光部に属しているだけに、赤坂さんにとって勝手を知る職場だ。現場での勤務に「まだ1週間では良くわからない」と言いながらも、すでに溶け込んでいる印象。「ものづくり好きな人たちが集まってくるような事業をしたい」と言う。
3月に75歳で亡くなった燕市の郷土史研究家、石黒克裕さんとは、30年来の付き合いだった。17日から5月24日まで史料館で開く「捧武写真展 田園の微笑」では、石黒さんの親友だった燕市の写真家、捧さんが撮った写真を石黒さんの編集で出版した写真集『田園の微笑』を取り上げる。写真集は第二回林忠彦賞を受賞した。
図らずも石黒さんを追悼するような展示となる。「石黒さんにはいろいろと教えてもらったので、今回の写真展を楽しみにしている」。赤坂さんは館長となって初めての展覧会に運命的なものを感じ、期待している。