県議選三条市選挙区は、しっかり現場に入っていなかったので偉そうなことは言えないが、終わってみれば予想した通りだった。4人が立候補したが事実上、自民で現職の佐藤卓之氏と坂田光子氏に民主で新人の藤田博史氏が挑む形となった。自民が三条市選挙区の2議席を独占するか、あるいはそれ以前のように民主党が1議席を奪還するかが注目された。
佐藤氏は立候補者が党派別の議席数について言及すべきではないと主張し、坂田氏の主張も自民2議席には重きをおかなかったが、いずれも応援演説では自民の2議席独占の継続を旗印に支援を求める支援者が多かった。
一方、藤田氏は出馬を決意したときから自民の2議席独占の阻止を真っ先に掲げた。自民独占では自民党以外の市民の声が県政に届かず、自民と民主で議席を分け合うことでより幅広い意見を吸い上げることができ、バランスが大切として支持を訴えた。
前回の県議選では、民主の現職竹山昭二氏が直前になって不出馬を表明し、民主党は後継候補を立てられず、当時無所属だった坂田氏についた民主支持者も多く、16年ぶりに自民が2議席を独占した。
翌2012年に自民党が政権を奪還し、民主支持者は激減。一昨年の総選挙でもやや盛り返したものの依然として民主の低迷が続く。そうした状況のなかで今回の県議選を迎えた。
民主の厳しい状況は変わらないが、今回は自民2人と民主1人の戦いだ。当たり前だが、自民が2議席を独占するには、民主の藤田氏の2倍の得票が必要になる。自民と非自民との戦いと言った方が正しいかもしれない。いくら民主の支持者が減ったとはいえ、非自民は自民の半分近く得票するだろう。自民の2議席獲得は佐藤氏と坂田氏がよほど上手に票を分け合わない限り難しく、それに成功したときだけ2議席独占に成功すると考えた。
選挙戦が始まると予想外に佐藤氏の苦戦がささやかれたが、3期目を目指して知名度の高い佐藤氏の当選は揺るがない。佐藤氏が票を多くとるほど坂田氏の当選は難しくなり、割を食う。3人のうち佐藤氏だけが総決起集会など大規模な集会を開かなかったのは、坂田氏に遠慮したのかとさえ思った。
結果は佐藤氏14,131票、藤田氏13,424票、坂田氏12,119票の順。わずかの差でどう順位が変わってもおかしくない大接戦だった。自民の佐藤氏と坂田氏を合わせた得票は26,250票。その半分は13,125票なので、結果からすれば仮に佐藤氏と坂田氏が票をきっちり二分したとしても藤田氏はそれを上回った。
また、佐藤氏と藤田氏の得票差はわずかに707票。一方、最後に立候補を表明した田村正宏氏は1,985票を獲得した。“たられば”だが田村氏が立候補しなければ田村氏の得票は非自民である藤田氏に多く流れたと思われ、藤田氏のトップ当選の可能性もかなりあった。
再選を果たせなかった坂田氏は敗戦の弁で「4年後を目指してあきらめることなく挑戦を続けていきたい」とした。