国土交通省北陸地方整備局は18日、燕市・信濃川河川事務所大河津出張所構内に建つ大河津分水工事殉職之碑の前で第80回大河津分水殉職者慰霊式を行い、1909年(明治42)に始まった大河津分水路工事とその後の補修工事や維持管理作業などで殉職した100人のめい福を祈った。
慰霊式には大河津分水改修促進期成同盟会の市町村の首長や関係機関から約50人が出席。黙とうに続いて北沢茂樹信濃川河川事務所大河津出張所長は式辞で、今年度から大河津分水路の抜本的改修に着手することになり、「この大河津分水路の改修にかかる詳細設計を鋭意、進めるとともに、できるだけていねいに地域の皆さまに進ちょく状況をご報告させていただきたい」と指導、支援を願い、「大河津分水路を適切に管理し、しっかりと本来機能を維持できるよう努める」と述べた。
藤山秀章北陸地方整備局長は、今年度から始まる大河津分水路の抜本的な改修は、最終的には総事業費1,200億円、事業期間18年の大規模な事業となるとした。ことしからおおむね13年間は第二床固(とこがため)の改築と床固下流区間の拡幅掘削の完了を想定し、これにより平成23年の新潟・福島豪雨(7.29水害)と同程度の洪水を安全に流すことができるようなり、その後の5年間で第二床固より上流部分の掘削などを行い、河川整備計画の目標とする流量を全区間で安全に流せるよう事業を進める。「今後とも先人たちの偉大なる功績を継承し、その努力に恥じぬよう地域の皆さまにていねいにご説明しながら事業を進めるなど地域の皆さまとともにいっそう努力をしてまいりたい」とした。
黙とうのあと信濃川河川事務所大河津出張所の小幡淳所長は式辞でこれまでの大河津分水改修工事の経緯を話し、近年はこれまでに経験したことのない自然災害が繰り返し発生しており、「こうした災害に備え、先人が築き上げた大河津分水の防災機能を良好に保つため、日ごろから巡視、点検を怠ることなく、維持管理に努めている」とし、殉職者の安らかな冥福を祈った。
来賓で細田健一衆院議員、鷲尾英一郎衆院議員、田中直紀参院議員、大河津分水改修促進期成同盟会会長の篠田昭新潟市長、信濃川・中ノ口川治水事業促進期成同盟会会長の国定勇人三条市長、地元の鈴木力市長がそれぞれあいさつのあと、献花を行って閉式した。