老朽化による屋根材や外壁の落下、さらには倒壊の危険性があることから、燕市で初めて公費による空き家の解体工事が行われている燕大通り商店街にある旧高橋書店=宮町=で、実質的な解体作業が週明け20日に始まった。
工期は3月20日から8月31日までだが、これまで解体工事に伴う住民説明会や家屋調査などを行っていたこともあり、実際の工事は20日に始まった。主に倉庫部分に残っているものを外へ出す作業を行っており、実際に建物を壊す作業は大型連休明けになる見込みだ。
旧高橋書店は1973年(昭和48)の建設で、ことしで42年になった。土地は大通りから裏通りまで続く386平方メートル。大通りに面して鉄筋4階建延べ床面積662平方メートルの店舗があり、その裏に鉄骨の倉庫、さらに裏に木造の居住部分が連なる。
解体工事は裏側から進める計画。店舗部分にはアスベストが使われていることもあって解体費用がかさみ、工事費は約3,900万円。アスベスト除去と木造解体の費用の50%、440万円の国の補助を受けるが、ほかは市費を充てる。
旧高橋書店は老朽化に伴って破壊が進み、昨年暮れには外壁材がはがれてとなりの家の屋根の上に落下した。大きな地震で倒壊のおそれもあるため、以前から近隣住民は解体撤去を求めており、昨年11月には地元の宮町自治会と各種団体が市に対して危険防止対策を求める要望書を提出した。
それを受けて昨年の12月定例会の補正予算で旧高橋書店の解体工事を追加提案し、全会一致で可決した。旧高橋書店には複数の債権者があり、解体にかかる費用を負担するものがなく、解体するには公費を投入する以外に手がなく、100万円で土地建物を購入して債権を放棄してもらうことで事業に着手できた。
公費での解体は不公平ではないか、これが前例となっては困るといった声もあるが、危険性に直面していた地元の人たちはもちろん歓迎。「旧高橋書店の周辺は、子どもたちにとっては冒険広場のようなもので遊んでいたので、事故が起きないかと心配だった」、「これでやっと安心していられる」と話している。