三条市指定無形民俗文化財の「下須頃獅子舞」が19日、保存する地元三条市下須頃の諏訪神社の春祭りでことしも奉納された。
3匹の獅子が舞う「下須頃獅子舞」を演じるのは、下須頃獅子舞保存会(韮沢康雄会長)。会員は下須頃地区の39歳から80歳代の12人で、9舞を保存する。
同獅子舞は、明治44年(1911)の信濃川の洪水で同地域が被害を受けたころまでは地元の青年団で伝えられてきたといわれるが、獅子舞頭や装束を失い、途絶えていた。その後、昭和になってから復活、昭和50年に下須頃獅子舞保存会を発足し、伝承されている。
獅子舞は、獅子頭を頭にかぶって舞う伝統芸能で、古くから幸せを招き、厄病退治や悪魔祓いとして伝えられている。下須頃獅子舞は、1人で1匹の獅子を演じる「一人立ち」で、獅子3匹で1組の「三匹獅子舞」。獅子頭と呼ばれる頭部は全体が黒塗りで、目玉は金色、口元は赤く金色の牙がのぞいていている迫力ある顔で、体は渦巻き模様の藍色の布で表現されている。
毎年、旧三条競馬場近くの諏訪神社の春祭りに舞を奉納するのが恒例。ことしも4月の第3日曜の19日に、宮の舞と花吸いの舞の2舞を奉納した。太鼓と笛の囃子や唄にあわせて、特設舞台に登場した獅子3匹が、リズムにあわせて床を踏みこんだりしながら、上下左右に軽快に、また力強く舞った。
この日は、2舞の間に同保存会が指導している須頃小学校の児童手踊りを披露し、それぞれ舞や曲が終わると観客から拍手が起こっていた。