三条ものづくり学校では、5月3日まで同施設ロビーで企画展示「デザイナー石川竜太のしごと」を開き、三条ものづくり学校のロゴデザインやキリンビバレッジ「生茶」のグラフィックデザインなども制作した三条市出身で新潟市中央区、株式会社フレームのアートディレクター・デザイナー石川竜太さん(39)=が手がけた作品を展示している。
旧三条市立南小学校の校舎をリノベーションし18日にオープンした三条ものづくり学校のオープニングイベントの1つ。同施設のエントランス右手のコーナーに、石川さんがこれまで制作したロゴデザインやパッケージデザイン、ポスターなどの作品を実際の商品とパネルで展示している。
石川さんは、1976年三条市石上生まれで大学卒業後、燕市内の企業に就職。97年に新潟市の有限会社インテグレートグラフィックスに入社、06年に独立してフレームを設立した。
独立した06年に新潟広告賞奨励賞、07年新潟ADC(新潟アートディレクターズクラブ)最優秀賞のグランプリを受賞したのを皮切りにそれぞれの入賞常連となり、県内のデザイン賞を次々と受賞している。
昨年はグラフィックデザイナーの全国組織「JAGDA」が各年度の優れたグラフィックデザインを表彰・記録するGraphic Designin Japan「JAGDA賞(2部門)」を受賞。10部門への応募総数2,440点の中から各部門1点、計10点のうちのロゴ(まいどや)とパッケージ(越後亀紺屋 藤岡染工場)の2部門のグランプリを受賞。日本パッケージデザイン大賞「銅賞」受賞と賞歴は続く。
石川さんは、「ものづくり学校」のロゴデザインのコンセプトについて、「全国的にも、世界的にも、三条発のプロダクトが注目されている。それを支える技術や『ものづくり』への思いは、古くから積み重ねられたものだろう」とし、横縞のような5本のグレーの線とその半分の長さの赤い線の6本の線で作られたシンボルマークは、三条の「三」と、ものづくりの「も」をシンプルに表現し、積み重ねた。
また、「これからも、ここ『ものづくり学校』に、そして『三条』に様々な想いが積み重なることを願います」と記している。
今回の展示は、燕三条や新潟のクライアントの作品が中心。同施設を訪れる燕三条地域の人たちに親しみがあったり、目にふれたことがありそうな作品を選定した。
「生茶」をはじめ、麒麟山酒造の日本酒や燕三条「畑の朝カフェ」ハーブソーダのラベルやパッケージ、「JAGDA賞」受賞作品、三条特殊鋳工所製造の鋳物ホーロー鍋「UNILLOY」のポスター、笛人本宮宏美さんの最新アルバムジャケット、会社や商品のロゴデザインなどが並ぶ。
石川さんにとっての「デザイン」は「考えて、形にすること」で、まさにものづくりの源流。並べられた作品は、石川さんが「考えて形にしてきた『ものづくり』」の展示と言う。
ものづくりは、「こういうものを作りたい」と考えることから始まっており、小学生が写生をするときに「ぼくは屋上で描こう」と思った時点で、ものづくりの精神はスタートしているとも。
また、「デザインはコミュニケーションの根源」と言い、日ごろからおもしろさを盛り込むように意識している。作品のひとつで、コメ粒をシロクマのキャラクターにデザインしたコメ「しろくまのお米」では、「かわいいクマ」と子どもが言ったとすると、親が「このクマはコメの形をしているんだ」と気づいて話し、コメはどうして片側が欠けているのかなど、会話が生まれていくようにとの思いだ。
また、今回の展示では、近所の小中学生はじめ若い人たちにも「あっ、なんかおもしろいね」、「なんでこうなったんだろう?」と感じてもらえたらと話していた。入場無料。午前10時から午後5時半まで。