三条市は4月30日、市役所で佐賀県武雄市の小松政(ただし)市長と三条市の国定勇人市長、両市が互いに交流派遣した職員をパネリストにパネルディスカッション「今、地方公務員がおもしろい!〜これからの地方公務員像を探る〜」を開き、職員約100人が地方公務員のあり方や両市役所の文化の違いなどについて聞いた。
小松市長は1976年生まれの39歳。京都府出身で東京大学を卒業、総務省に入省。大分県庁や福岡県福岡市役所に出向した経験があり、武雄市の樋渡啓祐前市長に請われて10年に武雄市役所に入庁。主任から秘書課長となった。樋渡前市長がことし1月の佐賀県知事選に出馬するのに伴って辞職、小松市長を後継指名し、ことし1月の武雄市長選で初当選を果たした。
国定市長と樋渡市長は同じ総務省出身から市長となった盟友で、今も親交が深い。今回は小松市長が国定市長を表敬訪問するのにあわせてせっかくだからとパネルディスカッションを企画。武雄市と三条市との間で11年から2年間、職員1人ずつを交流派遣しており、派遣された武雄市つながる部秘書課の池田修一係長、三条市総務部財政課の前山直人主任もパネリストになった。サブタイトルは「国家公務員VS地方公務員」に「武雄市職員VS三条市職員」。
話はまず県についてから。内部の研修会的な位置付けのパネルディスカッションのこともあり、厳しい意見もあったが、小松市長は大分県庁での経験から、小さな自治体がもっとやりたいことができるように相談に乗ったりアドバイスしたりするような「コンサル業務かなと思った」。国定市長は、テーマが「地方公務員はおもしろい」だが、それよりも「市町村がおもしろい。これからは市町村の時代」。
武雄市の強みについて小松市長は、「いい意味でも悪い意味でも適当」で、「これは結構、大事」。事業を確実にヒットさせるより「100個やって2個当てた方がいい」、「都市公園でセグウェイを走らせようと言ったら職員に、はぁ〜?と言われた」と樋渡前市長を思わせるようなエピソードを話した。市民と同じ目線をもっていれば「市民目線は自分目線」でいい。ただし、「何のためにやるかだけは最初に設定する」。
国定市長は「東日本は日本、西日本はアジア」と、西日本はカオスを楽しむことができ、西日本では平気で予算を否決、修正するが、東日本では大変なことになると実例を示し、「三条にはもっと西日本のようなアバウトさを」と願った。
これからの市職員に求められることについて小松市長は、武雄市のことを好きな職員が多く、「地域とのつながりが濃いことが愛情につながっている」。「行政はサービス産業」であり、「市民の感覚もっていれば」。
国定市長は「武雄市の10分の1でもいいから、もうちょっとアグレッシブにやっていくことができれば」と武雄市を見習うよう職員に期待した。
武雄市の池田係長は、三条に来てわかった武雄の強みがあり、「どちらかといえば、いい意味で武雄市役所はあまり考えずに物事に取り組むタイプが多い」、樋渡前市長が常々、口にした「スピードは最大の付加価値」を肝に銘じている。三条市の前山主任は、武雄市はキャラ立ちしている職員が多く、個性が強く、明るい。仕事はスピード感があるだけでなく修正力が高く、臨機応変に対応できることなどを話した。
また、出席者からの質問に答えて小松市長は、つながる部、いのしし課、お結び課、お住もう課、わたしたちの新幹線課など、樋渡前市長時代からおもしろいネーミングの部署が多いことについて「職員にとっては自分たちが注目されることが誇りになる」、「公務員はあまりほめられることがない」、「課名がモチベーションアップにつながるなら」と説明した。