燕市分水良寛史料館(西海土寿郎館長)は、24日まで同史料館で春の特別展「良寛墨宝展」を開いており、初公開を含む国重要文化財や新潟県文化財に指定されている“墨宝”と呼ぶにふさわしい貴重な良寛の遺墨を展示している。
春と秋の年2回、地元に残る歌や書を愛した越後の禅僧、良寛(1758-1831)の作品を集めて特別展を開いている。展示している良寛の作品は10点。国重要文化財は、屏風「風気稍和調」と良寛和歌書状類と釈注萬葉集。屏風はこれまでも何度か展示しており、良寛の特徴が良く表れた書だ。
良寛和歌書状類は、良寛が書いた和歌や書状を今では言うスクラップのように巻物にまとめて張ったもの。そのうちこれまで未公開だった第三巻を初公開。釈注萬葉集は当時、出版されていた万葉集に良寛が朱で注記を加えたもので、良寛が万葉集にも明るかったことの証拠になる。これも今まで公開したことのない五、六、七巻を展示している。
ほかにも県や市指定の文化財になっている書幅などを展示している。おもしろいのは、良寛が後輩との対局に使ったと伝わる碁盤と、碁石を入れる碁笥(ごけ)。牧ヶ花村庄屋解良(けら)家の10代、叔問(しゅくもん)は良寛の後輩であり、最も有力な外護者(げごしゃ)となり、良寛はしばしば解良家を訪れて碁に興じたと言われる。展示している碁笥には解良家の家紋が描かれている。良寛は後手の白の碁石を好んだという。
良寛の書のほかの関連展示もある。備中玉島(今の岡山県)出身で江戸時代の国学者、歌人の近藤萬丈(ばんじょう)(不詳〜1848)が、20年以上前に土佐(高知県)を旅したときに良寛らしい若い僧に出会ったことを思い出して書いた文書を展示している。
さらに良寛を多く描き、大ヒットした「良寛さま」の挿し絵を描いた小泉藍田(1897-1973)の画10点、地元分水拓本同好会による良寛詩歌碑拓本8点も展示している。
午前9時から午後4時半まで開館、入館料はおとな200円、高校生・学生200円、小・中学生100円。休館日は毎週月曜、月曜が祝日の場合はその翌日。