燕市産業史料館では、5月24日まで「捧武写真展 田園の微笑」を開いており、第二回林忠彦賞を受賞した燕市のアマチュアカメラマンだった捧武さん(1933-2010)の写真集『田園の微笑』に収録した作品を展示している。
『田園の微笑』は、1992年に発刊。昭和30年代の西蒲原の農村風景を中心に撮影したモノクロ写真190点を収録し、アマチュアの写真集のコンクールでは最高峰ともいえる山口県徳山市(今の周南市)の文化振興財団が1991年に設置した林忠彦賞の第二回受賞者となった。
捧さんは亡くなる少し前にその収録作品をパネルにして同史料館に寄付しており、そのなかから今回は22点と、絶版になっている『田園の微笑』のポストカードも展示している。
作品に写るのは、50年前の風景や生活にとどまらない。捧さんは取材する人たちとのコミュニケーションを大切にした。捧さんのレンズに向けられた表情は、作品に写る人たちと捧さんの関係性を切り取った。捧さんにしか撮ることのできなかった作品だ。
カメラを意識させないためにファインダーをのぞかずにシャッターを切ることもあり、印画紙に焼き付けられた人たちは捧さんと対話するように写っている。
『田園の微笑』を編集したのは、燕市の郷土史研究家、石黒克裕さんで、ことし3月に75歳で死去したばかり。図らずも石黒さんの追悼の意味が重なる作品展となっている。
会期中の5月の休館日は7日、11日、18日。午前9時から午後4時半まで開館、入館料はおとな300円、子ども100円。問い合わせは同史料館(電話:0256-63-7666)へ。