三条市丸井今井邸の白いフジの花が、2011年にフジ棚に移して以来、最高に見事な花房をつけ、訪れる人を楽しませている。
県央地域では5月中ごろに満開になることが多いフジの花だが、4月から25度以上の夏日を記録するなど気温の高いことしは1週間余り早く見ごろを迎え、すでに満開。今週末で見納めのようだ。
今井邸の庭に入ると甘い香りがし、柔らかな新緑とともに、たくさんの花をつけた白いフジの花の房が風に揺れる。ことしは5月に入ってすぐ咲き始め、連日の夏を思わせる気温で一気に開花が進み、すでに満開。数日前から入口の戸を開放し、だれでもフジの花を見られるようにしており、通りかかった市民やアマチュアカメラマンが訪れている。
このフジは、以前は隣接した旧まるよしの6階建てのビルの壁をつたって屋上まで約26mもツルを伸ばしていた。花の季節には数えきれないほどの白い花房をつけ、当時はその姿が白い竜が天に向かうような「昇り竜」ならぬ「昇り藤」とも呼ばれた。
旧まるよしが閉店し、2011年に同ビルを解体する際に、丸井今井邸保存会で前庭の一角に藤棚を作り、ビルの壁面に伸びたフジのツルを伐採して移し替えた。おはらいをしてから作業を始め、伸びたフジを途中で切って壁からはがし、フジ棚の上にはわせた。
翌年は、ほとんど花がつかず、同保存会では枯れてしまったかもと思ったが、少しずつ花房が増えた。4年目のことしは、フジ棚に移してから間違いなくいちばん見事な花を咲かせ、「あのフジが生き返った」と復活を喜んでいる。