全国の地方自治体の広報のコンクール、日本広報協会主催「全国広報コンクール」の審査結果が7日発表され、燕市は映像の部で部門最高賞となる「総務大臣賞・特選」を受賞。燕市は以前から同コンクールで上位に輝いているが、総務大臣賞受賞は初めての快挙だ。
燕市が受賞したのは、「もっと!ギュッと!つばめっ子ニュース」のメイキング映像。昨年、燕市が行った広報つばめ子ども版を制作する事業のようすを収録したドキュメント動画をDVDに収録した。
市内小学校5、6年生23人を子ども記者に任命し、昨年7月から12月まで12日間に及ぶ活動のようすをビデオ撮影し、28分の動画に編集。DVDのジャケットも臨時職員による手描きのイラストやロゴを生かして自前でデザインし、玄人はだしの完成度の高いDVDを完成させた。
コンクールは広報紙、ウェブサイト、広報写真どの部門があり、全国の都道府県から代表に選ばれた作品が審査され、部門ごとに上位から特選、1席から3席、入選が決まり、さらに上位から全部門を対象に頂点となる内閣総理大臣賞1点と総務大臣賞7点、読売新聞社賞10点が決まった。
燕市は広報紙の部門で全国コンクールの2席となったことはあるが、部門最高位の特選となったのも総務大臣賞の受賞も今回が初めて。広報紙は編集作業を民間に委託しているのがふつうだが、燕市は以前からコンピューターを使った編集作業「DTP」を導入して職員が行い、データを印刷業者に渡してそのまま印刷だけしてもらっている。
今回の映像作品もDVDディスクを買ったくらいで、ほぼ予算ゼロの事業。今回の映像の入選以上の作品は映像制作会社が大きくかかわったものばかりで、それにかかる費用は百万円くらいのレベルから上は一千万円超とも言われるだけに、予算を伴わずに職員が作った作品の価値はさらに大きい。
制作を担当したのは、地域振興課広報広聴係主任の荒木巧さん(33)。昨年7月日本広報協会主催のデジタル動画セミナーを受講した。とはいえセミナーは正味1日。さわりしか学べなかったが、それをきっかけに動画編集を学びながら撮影、編集して完成させた。
荒木さんは、「広報つばめ子ども版を制作する子どもたちのようすを家族が見ることができない。そのようすを見て、家族が喜んでくれるような動画をつくりたかった」とねらいを話す。
制作にとりかかったときは、何を撮ればいいのかポイントがわからず、あとで素材が足りなくならないように、とにかくたくさん映像を撮ったが、その分だけ編集の作業量が増えて大変になることも学んだ。
ことしも動画制作の計画を練っているが、今回の受賞でハードルが上がり、「去年よりいいねと言われるようなものをつくらないと」と荒木さんは苦笑いする。
今回の偉業に鈴木力市長も手放しの喜びようで、「手づくり感があって、登場するのが子どもたちだったのも良かったのでは」と評価。動画はYouTubeなどにアップすることで、若い世代に情報を届けるのに有効で、燕市の動画を使った広報が増えていきそうだ。受賞した映像はYouTubeの燕市広報チャンネルで見ることができる。