三条市・八幡宮で14日を宵宮に15日は春季大祭が開かれる。これにあわせて地元にゆかりの有志8人でつくる敬神会は14日、新しい鈴緒を編み、ぴかぴかに磨き直した鈴とともに八幡宮に奉納した。
敬神会の事業は年に一度、このときだけ。5月1日に拝殿の鈴を下ろして磨き、新しい鈴緒とともに奉納する。始まりは定かではないが、鈴には「昭和47年5月吉日」と刻まれている。
メンバーは昨年、久しぶりに新人1人が加わり、35歳から79歳までの8人。ことしも研磨業白井元明さん(74)=三条市八幡町=の仕事場に集まり、午後0時半に神酒をいただいてから作業をを始めた。
ことしの鈴を磨く当番は、のこぎり製造業白井憲太さん(34)=八幡町=。八幡宮の拝殿に下がっていた鈴を1日に下ろした。鈴は銅製で1年の間にすっかり光沢を失っていたが、毎晩、研磨剤を使ってぴかぴかになるまで磨き上げた。
磨いた鈴を拝殿に戻すのにあわせて、鈴緒も新しく作る。荒縄6本を束ねてそれぞれを赤、白、黒の布で包むように巻きながら3本をねじって作る。三つ編みのように編むのではなく、3本を同じ方向にしぼるようにねじっていくと、摩擦力だけで1本の太い綱になる。
「よーいさっさっ、よいやさっさっ!」のかけ声で拍子を取って3本の束を3人が1束ずつ持って力いっぱい引いては左隣りの人に束を渡して編み進める。鈴緒のいちばん下には毎年、寄付してもらっている組みひもの房をつけ、麻ひもを垂らして完成だ。
最初につなを束ねる作業は、白井さんの家の前の小路で行った。青空の下の路上も作業場だ。作業中は笑い声が絶えない。「年とってくると、よーんねことはねーて(言えないことはない)」、「わーけもんより、よーやったらだめらろ」、「だってきた(ゆるんできた)」と6、70歳代のベテランが懐かしい方言で話せば、若手は「アクシデントはあったけど、いー感じのスピードっすね」。
にぎやかな声に近所の人たちも様子を見に来る。「これだけの人が一生懸命になって。手間がたーけんだ」、「こんが大変らとは知らんかったね」と初夏を思わせる陽気のなかで作業を眺めていた。
3時ころにようやく鈴緒が完成すると、鈴を鳴らしながら八幡宮へ運び、鈴と鈴緒を神前に供えてみんなで参拝。最後に鈴を磨いた白井さんがはしごに登って屋根の下に鈴と鈴緒を下げ、会場を移して祝宴を開いた。