三条市立保内小学校の5年生26人が13日、学校教育田で地域に伝わるかすりに赤たすきの早乙女姿で昔ながらの田植えを体験した。
毎年、5年生の総合学習の一環で、地域の人から借りた教育田で昔ながらの田植えや稲刈りなどを体験している。昨年から昔の田植えの風景も再現しようと、数人はかすりの着物などを着ている。ことしは女子4人と男子2人が着物などの衣装を着て、それ以外の児童は学校行事で使ったはっぴを着て田植えした。
早乙女姿とは、田植えをする女性の衣装。手ぬぐいの上に笠をかぶり、かすりの着物に赤いたすきと腰巻に前掛け、手には白い手甲、はだしで、ひざ下や足首の赤い脚半をわらでしばった。
衣装は、児童にとっては祖父母世代より昔にさかのぼり、今から40年以上前に実際に田植えで着用したもの。蔵から掘り出したという人もあり、嫁ぐ時に母が縫ってくれた愛情のこもった着物だ
男子2人の着物も当時の「野良着」をそのまま使用。帯は子ども用に三尺の帯を切り、女の子の笠はピンク色の縁取りをしたり、手甲に鈴をつけたりと、児童のために手を加えた。
また、早乙女姿の田植えを見てもらおうと、2年越しの要望を受けて国定勇人市長も参加。市長にも昔ながらの衣装が用意され、藍染の半てんに股引姿に着替えてもらい、児童とともに田植えした。
児童代表があいさつで「保内の先人の気持ちになって、心を込めて苗を植えたいと思います。市長さんも保内人になった気持ちで」と述べ、国定市長は、長年の知恵で作られた服装も文化とし、保内人の心を取り戻すように田植えをしたいと話した。
田んぼに足を入れた児童は「あったか〜い」と田んぼの感触を楽しみながら苗を植え、見守る地域の人たちも「かわいいね」と目を細め、笑顔があふれていた。昔の衣装は子どもたちにとっては遠い昔の時代のコスプレ。懐かしい田植え風景はまるで映画やドラマのワンシーンを見るようだった。
児童たちの手際もよく、550平方メートルの田んぼは30分余りで終わり、田植えを終えた国定市長は「もうちょっとやりたかった。ここまでフル装備での田植えは初めてで、最高の思い出になった」と話していた。