燕市宮町、戸隠神社(星野和彦宮司)は16日、春季祭礼の宵宮祭を行い、2つの万灯組がそれぞれ万灯を仕立て、小学生の女の子による踊りを披露して祭りを盛り上げた。17日は本祭で、引き続き万灯や踊りが披露され、夜は戸隠神社で舞い込みが行われる。
戸隠神社は17日の本祭に向け、16日は午後7時から春季祭礼の神事を行った。神社が面する大通りには例年並みの137の露店が並んだ。三条では最高気温は未明の21.4度だったが、日中の気温は15度前後。前夜に降り始めた雨は午前中にあがったが曇り空が続き、前日の夏のような暑さとは一転、夕方からぐっと冷え込んだものの、予報では雨の心配は必要なく、安心して行事を進めた。
戸隠神社の春祭りを彩るのは、木場小路万灯組(小林健夫総代)と横町万灯組(笠原伸司総代)による万灯だ。木場小路万灯組は戸隠神社のある宮町の万灯組で、1812年ころの発祥とされ、その後、間もなく今の中央通の横町万灯組が生まれたとされる。万灯は縦横約3メートルの大きな台車の中央に灯ろうを載せ、そのてっぺんから色とりどりの紙で飾った数十本のタケをしだれのように垂らす。
若連中が綱を引いて町内を回り、万灯の上では太鼓や笛が祭りばやしを演奏。はやしにあわせて「ひょっとこ」と呼ばれる男の子が扇子を広げて踊る。
若連中の「木遣(きやり)音頭」に続く「伊勢音頭」の歌にあわせて踊る小学生の女の子だ。木場小路万灯組は“お玉”、横町万灯組は“踊り子”と呼び、それぞれ12人で編成。春祭りのアイドル的存在で、家々を回って踊る門付けや通りなどで大勢の前で踊る下座を披露した。
木場小路万灯組は午後3時から、横町万灯組は4時15分からそれぞれの地元で出陣式を行い、渡辺大蔵権禰宜(ごんねぎ)が修祓の儀を行い、祝詞を奏上して万灯運行の安全を祈願した。
横町万灯組にとってことしの万灯は特別。長く横町万灯保存会の会長を務めていた石黒克裕さんがことし3月、75歳で死去した。しかし、ことしの万灯も石黒会長の名のもとに行う弔い万灯とし、万灯の柱には石黒さんの遺影を飾った。出陣式でも石黒会長に黙とうささげた。
宵宮のハイライトは、戸隠神社境内での下座。木場小路万灯組は午後8時から、横町万灯組は9時から行った。それぞれ参道の先に万灯を据え、戸隠神社に参拝してから参道に一列に並んで踊った。それを囲んで2重、3重の人垣ができ、踊りが終わると大きな拍手がわいていた。