一般社団法人燕西蒲労災防止協会(池田弘会長・会員226事業所)は21日、燕市・萬会館で同協会の創立40周年記念式典を行い、40年の節目を祝った。
池田会長はあいさつで、昭和40年代はプレス事故が1年に200件以上も発生し、洋食器メーカーでプレス災害防止対策協議会を設置したことから話した。しかし期待するほどの成果はなく、日本金属洋食器工業組合、日本金属ハウスウェア工業組合、燕商工会議所の3団体プレス災害防止を中心に労働災害防止を図ろうと三条労働基準監督署、当時の燕市、吉田町、分水町、弥彦村の自治体の協力を得て昭和50年1月に燕西蒲労災防止協会を設立した。
40年の経過を振り返り、「人命尊重が叫ばれているなか、企業は将来に渡って経営を発展していくには、労働災害防止活動が一刻たりとも止まってはいけない。ここに創立40周年の記念式典を開催するにあたり、新たな熱意を燃やし、さらに労働安全衛生全般にあたりいっそう安全衛生活動の充実を図っていく所存」と述べた。
来賓祝辞で上田克郎三条労働基準監督署長は、昨年の同署管内のトピックは「何と言っても昭和22年に署が設立されてから68年目にして初めて1年間、死亡災害ゼロを達成できたこと」。さらにプレス災害も16件で過去最少、休業4日以上の休業災害も372件で前年比3.9%減少し、「総じて災害防止の面では昨年は非常に好成績だった」と評価した。
昭和50年の三条署管内の労働災害統計は、死亡災害12件、プレス災害116件、労働災害853件だった。同協会をはじめ各団体が労働災害に務め、燕市も昭和55年にプレス災害絶滅都市宣言を行うなど、それぞれの立場で労働災害の防止、とくにプレス災害の防止に尽力し、40年前は死亡災害は年間2けたが当たり前だったのがついにゼロになり、休業災害は3分の1、プレス災害は8分の1に減少し、「あらためて隔世の感を覚えるとともに感慨も深い」。
ただ、プレス災害は減少したとはいえ、全国的にはまだワースト3位。昨年、製造業で発生した災害194件中、半数が機械設備へのはさまれ、巻き込まれで、そのうちの多くが手や指を切断する重篤な後遺障害を伴っている。安全装置を設置していない、設置しても作動させていない、掃除や調整の非定常作業を運転しながら行うといった防ごうと思えば防げた災害だった。
今年度の目標や取り組みについて話し、「今後ともこの地域での労働災害防止の要として不幸な労働災害が1件でも減少するように、これまで以上に積極的な活動に期待する」と述べた。
鈴木力燕市長は、燕市に生まれ育って子どものころ近くにもプレス工場が多くあり、しょっちゅう救急車が来ていたことにふれ、その後、同協会が設立され、労働災害が激減した成果を評価し、「各事業者の皆さまには心よりお祝い申し上げる」。
地方創生が言われるなか、都会へ出た人が再びふるさとへ戻り、働いてもらうためにも、安全、安心な職場づくりをする同協会や事業所での取り組みが大切。「若い人たちに燕は魅力的な町だよという発信は、わたしの立場で一生懸命やらせていただくので、わたしが宣伝するにふさわしい職場づくりをぜひとも皆さん方にしていただければ」と願った。
表彰を行い、協会創立当初から役員の柄沢好兒さん(株式会社玉虎堂代表取締役)に感謝状を贈ったほか、連続無災害事業所表彰で30年以上連続無災害の5事業所、同じく20年以上の12事業所、10年以上の23事業所を表彰、永年勤続職員表彰で35年以上の佐藤富美夫さんと10年以上の熊谷守雄さんを表彰した。記念式典のあと記念講演、記念パーティーに移った。 連続無災害事業所表彰で表彰された事業所は次の通り。
【連続無災害事業所表彰 被表彰者】
■30年以上連続無災害
■20年以上連続無災害
■10年以上連続無災害