環境省のレッドリストで準絶滅危惧に指定されている高山植物、ヒメサユリが群生する三条市下田地区の登山道「ヒメサユリの小径(こみち)」で20日から6月5日まで「越後三条 高城ヒメサユリ祭り」が開かれており、23日は満開を迎えたヒメサユリの花を観賞しようと大勢の登山客でにぎわった。
ヒメサユリはユリ科の多年草で、三条市の花。新潟県とその周辺くらいにしか自生していない。下田地区の山野には古くから自生し、標高372メートルの高城城址へと続く登山道に群生しており、地元で保存に務めている。
5月下旬から6月上旬が見ごろだが、ことしは例年より1週間ほど開花が早く、すでにピーク。さわやかなピンクの花が魅力だ。
23日の三条は最高気温27.9度の夏の陽気。登山道入り口の駐車場では、午前9時から先着150人に地元森町産コシヒカリのおにぎりをプレゼントし、100人近くが集まっておにぎりの配布を待った。すでにこのころには160台収容の駐車場がほぼ満杯。県外ナンバーの車が目立ち、遠くは「北九州」ナンバーもあった。登山者が数珠つなぎになってぞろぞろと連なって歩くこともあり、今まで見たことのないほどの人出だった。
登山道の途中の視界が開けたビューポイント「はじめの眺め」では、午前10時から先着100人にキハダ茶のサービス。遠くに守門岳、眼下に諸橋轍次記念館や道の駅「漢学の里しただ」を望み、氷の入った冷たいキハダ茶がのどを通る涼味はこたえられない。
登山客のほとんどは本格的なトレッキングウエアでかためていた。とくに登山道の最初の部分は急斜面で、「弥彦山の登山より大変」と予想外のハードな登山に驚く初めて登った人も。しかし、斜面が緩やかになるころからヒメサユリの花が群生して広がり、「なにこれ、すごーい!」と大きな声を上げる女性もいた。
今年度、三条市が「健康づくり大学」の取り組みを委託する一般社団法人民間活力開発機構の里敏行理事長が職員3人と一緒に視察に訪れた。いずれもビジネスシューズだったが、85歳の里理事長も「はじめの眺め」まで登山し、ヒメサユリの魅力や観光地として首都圏からの誘客の可能性を確信していた。「健康づくり大学」の第1弾として28日午後2時から4時まで日帰り温泉「いい湯らてい」で中川内科医院の中川理医師による健康相談を行う。
これから週末にヒメサユリ祭を訪れる人は、駐車場が満杯になるのは確実なので、臨時駐車場の「いい湯らてい」か「漢学の里しただ」に駐車して、5カ所を巡回する無料のシャトルバス「週末バス周遊」を利用した方がいい。またヒメサユリ祭り期間中の登山は、登山道環境整備協力金1人200円が必要。