国道289号線「八十里越」の開通によってつながる新潟県、三条市と福島県、只見町などでつくる八十里越道路暫定的活用検討懇談会は28日、三条市で第5回懇談会を開き、新規の両県民を対象にした交流事業を含む通り抜けイベントなどを話し合うとともに、早期開通を願った。
八十里越は新潟県三条市と福島県只見町を結ぶ国道289号で、車が通行することができる道路は工事が続いている。開通の見通しは立っていないが、工事用道路を使って物理的には通行が可能になった。それを暫定的活用して産業、経済、文化、観光の新たな地域間交流を検討し、1日も早い全線開通のアピールにもなればと2011年に同懇談会を設立した。
毎年、只見町と三条市と会場を交互に開いており、今回は三条市。諸橋轍次記念館で午後3時半から開き、国定勇人三条市長、目黒吉久只見町長をはじめ福島と新潟両県の委員や事務局など33人が出席した。
国定市長はあいさつで、「ようこそお越しくださいました」と言う言葉が歯が浮くようになってしまっているくらい、只見町と交流を重ね、本当に隣り同士だと実感していると歓迎し、懇談会を通じて互いの交流が実りあるものに、その結実として1日も早く供用開始ができますことをともに祈り、互いに行動して着実に一歩一歩、取り組みを進めていきたいと話した。
目黒町長はあいさつで、懇談会の設立当初、開通は「まだまだ先だなぁ」という思いだったが、懇談会もすでに5年たち、開通まではまだ時間があるが、そう長い期間ではないと実感していると話し、明確な数字はないが、「私の心の中には10年以内と刷り込まれている」と1日も早い開通を願った。
議事では、「通り抜けイベント」についての平成26年度の報告と27年度案が示された。27年度案は、昨年度も実施した「初夏の八十里越県境越イベント」(7月11日)、只見高校生が自転車で実施する「日本列島横断(洋から海へ)R289いわき市〜新潟市 フルコース踏破」(8月1〜2日)、只見と三条の一般を公募する「秋の八十里越県境越イベント」(10月18日)、「只見・下田商工会八十里越交流事業」の4事業。新規の両県民対象の「八十里越交流事業」(9月9日新潟県民対象、9月30日福島県民対象)の計5事業。
このほか、三条市は、1月に柏崎刈羽原子力発電所における万一の原子力災害に備えて応援協定を締結した会津と南会津の6市町村に、日ごろからの交流が大切として、三条マルシェへの参加を呼びかける。また、今後、三条と只見だけではなく、全国を対象とした交流イベントを計画したいとして理解と協力を求めた。
議事のあと講演に移り、「国道289号八十里越事業について」のテーマで国土交通省北陸地方整備局長岡国道事務所の嶋倉正幸調査課長、「八十里越峠の歴史から」を三条市文化財保護審議会委員で八木神社宮司の石沢功さんに聴いた。