初めての映画制作「燕三条フィルムプロジェクト」に取り組んでいる燕三条青年会議所(石黒良行理事長)は5月31日、燕三条地場産業振興センターでサブキャストのオーディションを行い、おとな17人、子ども129人がオーディションに応募し、参加した。
燕三条JCは1999年に“市民の翼事業”として演劇の舞台創作を行った。それから16年。市民参加による協働やまちづくりを目指してことしは同じ事業名を冠した映画制作のプロジェクトに取り組むもので、燕三条JC誕生の日の10月10日に公開する。
プロデューサーは、今回の事業を担当する燕三条JCの「燕三条の未来想像委員会」、監督と脚本は鶴岡慧子さん。鶴岡さんは1988年長野県出身。立教大学で卒業制作として監督した『くじらのまち』(2012)が自主映画コンテスト、ぴあフィルムフェスティバルアワード2012でグランプリ&ジェムストーン賞をダブル受賞している。
上映時間40分から50分の中編映画を制作。祭りを題材に地域のみんなで力を合わせて映画制作に取り組むというようなもので、燕三条地域らしさを伝える。
メーンキャストはプロの俳優を起用するが、サブキャストは地元で募集。この日は午前9時から午後9時まで、まる一日かけてオーディションした。審査員は鶴岡さんと燕三条JCの石黒理事長、知野学副理事長の3人が務めた。
応募者を3人ずつオーディションし、自己紹介や応募の動機は、子どもは得意なこと話してもらい、子どもには文章を読んでもらい、おとなには3人から別々の役になってせりふを読んでもらった。
子どもたちは自由だ。いすに座って足をぶらぶらさせながら、得意なことは「逆立ち歩き」、「ダンソンです」、「けん玉」。道着で空手の板割りを披露する子もあれば、応募の動機を「お母さんが勝手に応募した」と正直に話す子もいて、鶴岡さんもたびたび何度も爆笑させられていた。
正反対におとなはぴりぴりムード。鶴岡さんは子どもでもおとなでもソフトに話したが、演技の経験のない人は手を震わせたり、ふだんなら間違えないような簡単なせりふを何度もかんだり。「燕市の文化発展のために貢献したい」、「芸能界へのあこがれがある」、「一生に一度、あるかないかのチャンス」、「20代のころにエキストラの経験はあるが、ぜひ今度はせりふをいただきたい」とそれぞれの思いを話した。
一方で演劇の経験者や現役の劇団員もいて、こちらは堂に入った物腰で映画出演に対する思いや創作したり、演じたりすることの意味などをアピールしていた。
今回のように近年、各地でまちづくりやまちおこしからスタートした映画制作の取り組みが増えているが、鶴岡さんにとっては初めての挑戦。「今までは先に構想があったが、今回は皆さんのためにつくろうという感じが強く、新鮮」で、「映画制作の基本的なことを体験できている感じで、とにかく楽しんでもらえるようにという思い」と言う。
さらに「プロがやりたくてもできないことな気がする」と可能性を感じ、「特別なことをやっているつもりはないが、皆さんのエネルギーを作品に昇華させたい」と願っている。
サブキャストは7日に記者会見を行って発表し、鶴岡さんや選ばれたキャストメンバーも同席する。また引き続きボランティアスタッフの募集を行っており、申し込みや問い合わせは燕三条青年会議所(電話:0256-32-5151)へ。